ブルックナー 交響曲第7番 朝比奈隆 大阪フィル 1975 フローニンゲン

朝比奈さんの1975年のヨーロッパツアー、あの聖フロリアンの演奏で有名なツアーですが、そのときのツアーでオランダ、フローニンゲンで行われたライブ録音が発売になりました。

朝比奈 フローニンゲン ブルックナー 7

1975年10月26日です。

日本ブルックナー協会が解散するということで、会員には、このCDが配られました。

そのCDが届いたので、さっそく聴いてみました。

CDの番号は、ALTUS ALT219です。

4543638002191
朝比奈 フローニンゲン ブルックナー 7

印象としては、きわめて聖フロリアン盤に近いです。ジャンジャン盤のあのスピード感のある演奏とはちがって、非常にゆったりとしています。しかし、面白いですよ。ソリストの音色が、フロリアン盤といっしょですから。

こちらの方が録音が明快です。この録音を聴きますと、聖フロリアンのオリジナル録音が聴いてみたくなりますね。

テンポは、こちらの方が残響が少ない分、といってもけっこうあるのですが、若干速めですが、それでもかなりゆっくりではあります。

聖フロリアンの演奏では、ホールが狭かったので、全員がステージには乗っていないのですが、こちらは全員乗ったようです。

しかし、ここまでのスタイルの一貫性があると、聖フロリアンの演奏は、偶然の産物ではないことがよくわかりますね。

第1楽章、最初のイメージからして、聖フロリアンと似ているものの、もっとくっきりした印象があります。それでも、かなりホールの残響はあって、なめらかな音です。この欧州の演奏旅行のために、大フィルはものすごい特訓をして、この純度の高い音を手にいれたのです。第1楽章コーダをこれだけ壮大に演奏する人は、朝比奈さんしかいませんが、ここでも同様です。

第2楽章、こちらもフロリアンよりもくっきりしています。それと、中間部で、けっこうテンポの動きがあり、よりダイナミックな表現になっています。非常に足取りがしっかりしていて、ものすごく律儀でまじめな感じもありますね。ちょっと間延びするように感じるところもあります。

第3楽章、朝比奈調スケルツォですね。けっこうテンポ速いですが、重量級。フロリアン盤は残響が長すぎてなにがなんだかわからないところがありますが、こちらは、細部がきれいに聴こえます。トリオはより生真面目に聴こえます。

第4楽章、快調な滑りだし。最初は、洒落っ気がある。それにつづくシーンは、なかなか丁寧な歌がきこえる。表現としては、後年とくらべるとテンポがよく動く。この7番のフィナーレは、全体からすると規模が小さいのだが、朝比奈さんは、この時期から、ここをちゃんとフィナーレとして、非常に荘厳な表現にしています。

で、結論として、聖フロリアンとくらべてどうかというと、そりゃ、聖フロリアンが圧倒的にすばらしいと思います。これはフェアではないです。フロリアン教会には、なんたってブルックナー本人が眠っているんです。そして、あの荘厳な雰囲気、何者にもかえることができません。あの演奏は、まさに一期一会の奇跡がつまっています。すべての音が神がかって聴こえます。一刻もはやく聖フロリアンの正規録音が聴きたいですね。大フィルにあるそうです。

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以下、発売元の解説

新発見! 朝比奈 大フィル 伝説の75年ヨーロッパ公演最終日!
あの名盤ザンクト・フローリアンと双壁の名演
初発売となる本録音はエンジニア平澤佳男が同行録音したもので、大変秀れた音質で残されておりました。朝比奈らしい不動のインテンポの堂々たる大演奏! そのうえ特別なヨーロッパでの公演のためかある種ただならぬ緊張感漂う見事な出来栄え。1楽章コーダなどでのレンジの広さも特筆でアルプスの山々のごとき雄大さです。

自ら育てた大阪フィルとヨーロッパ公演を行うことを熱望し、1975(昭和50)年10月、ついにその夢は実現する。約1カ月間、20回にわたる公演の中でも、ブルックナーの〈7番〉はもっとも重要な作品であり、26日にオランダ・グロニンゲン(フローニンヘン)で収録されたこのライヴは新発見された音源だが、その完成度はきわめて高く、あの名高いザンクト・フローリアンのライヴ(12日)と双璧を成すものだ。──音楽ジャーナリスト岩野裕一

■朝比奈/大フィルの1975年ヨーロッパ公演音源 ~オランダ・フローニンゲン公演発売にあたって
既に同曲異演盤が多数ある朝比奈隆のブルックナー:交響曲第7番において、フローニンゲン公演をリリースする意味は二つある。一つは、この公演が大阪フィル1975年ヨーロッパ公演における朝比奈指揮の最終公演であった。ツアーはこの後秋山和慶の西ドイツ公演にて、無事終了した。朝比奈の代表的名盤と言われる、ザンクト・フローリアンの名演奏から丁度二週間が経過。当初、長距離移動や不慣れなヨーロッパ滞在で疲れも見られた楽団員も、すっかり欧州の空気に馴染み、より完成度の高い演奏となった。もう一つは、この演奏が当時の大阪フィルのフルメンバーによる、ブルックナー演奏であるということである。ザンクト・フローリアンでは会場の都合で、木管の倍管を止めたが、朝比奈はこの曲では常に木管の倍管を行っており、本公演の演奏はより朝比奈の目指したブルックナーの音響と言えるだろう。1975年ヨーロッパ公演は、現地放送局が収録したモントルー公演、ベルリンSFB公演を除き、全て同行した平澤佳男により収録された。マスターテープに添付されたデータシートによると、録音機材はマイクがNeumann SM-69、U-87、レコーダーはREVOX A700で、3M社製テープが使用された。ライヴ録音としては最高水準のものであり、当然クオリティの高い録音が実現した。本CDの制作に当たっては、この録音のクオリティをそのままCD 化するべくマスタリングを行った。再生にはStuder A-80を使用。Summit Audio真空管ラインアンプを経由し、DB Technologies AD122-96にてデジタル化した。既に幾つかのヨーロッパ公演の音源は発表してきたが、残念ながら音源の多くが所在不明となっており、その中には当時ラジオ放送され名演との誉れ高いハイデルベルクのチャイコフスキーも含まれる。しかし、存在が確認されたものも幾つか有り、ザンクト・フローリアンはオリジナルテープが残っている。また、協奏曲も幾つかあり、これらも何れ発表の機会を伺いたい。なお、ザンクト・フローリアンはORFリンツにより録音が行われており、このテープの所在についても、調査したいと考えている。(下田智彦 文中敬称略)
キングインターナショナル
発売・販売元 提供資料 (2011/12/09)

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【伝説の名演】ブルックナー 交響曲第7番 朝比奈隆 大阪フィル 1975年 リンツ 聖フロリアン CD LP

この朝比奈隆会心の演奏は、大フィルにオリジナルマスターテープが存在するといわれておりましたが、ALTUSより、発売されました。

宣伝では、第1楽章のあとの拍手がはいっているとか、ノーカットを強調しておりますが、そんなことより、なんといっても、オリジナルマスターテープだからこそ味わえる音の良さが聴きものです。ビクター盤は、残響成分が多く、やわらかい音が印象的ですが、このALTUS盤は、非常に厚みのある芯のある音で、かなり印象が異なります。熱い思いが直接つたわってきます。LPもあります。

なお、オーストリア放送協会も公式の録音をしているという情報もあります。その放送を聴いてオーストリアの熱心なファンが手紙をよこしたのいうのは有名な話ですから。

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CD
朝比奈隆 ブルックナー 交響曲第7番 フロリアン新盤

LP
朝比奈隆 ブルックナー 交響曲第7番 フロリアン新盤 LP

ブルックナーの眠る聖地ザンクト・フローリアン修道院での伝説的ライヴ
「朝比奈隆 聖フローリアンのブルックナー」が新マスタリングで発売!
録音者平澤氏秘蔵のオリジナルマスターテープから初の完全収録で登場
初出ジャンジャン全集盤特典、ビクター盤でカットされた箇所が見事に復活

契約切れで長らく入手難であった朝比奈隆の代表盤といわれる聖フローリアン修道院での7番がアルトゥスより新マスタリングで完全復活。うれしい事に初出でのジャンジャン盤特典およびビクター盤でカットされた1楽章演奏後の沈黙と小鳥の鳴き声が聞こえた後、演奏のあまりのスケール感に打たれた聴衆が自然発生的にじわじわ拍手が湧き上がる箇所も復活。今まで文献のみで語られた伝説の拍手ですが、こうやって完全収録盤で聞きなおしてみますと、曲を知らないが故の事故的拍手などでなく、巷間語られてきたように演奏の迫真に打たれた聴衆の自然発生的拍手であったことが分かります。また終演後の演奏の感動を伝える拍手も6分!収録。また宇野功芳氏が神の恩寵と称える2楽章演奏後に奇跡的聞こえてきた5時の修道院の鐘も万全です。音質はやわらかで7秒の見事な残響が美しくオーケストラは広大になりわたります。ちなみに当日演奏会にはノヴァーク版のノヴァーク教授も臨席、「すばらしい演奏のまえには版の問題は関係ない」と名言を残し演奏を絶賛したとのエピソードも有名です。
キングインターナショナル

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HMVはこちら

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以下は、最初のCD

4988002128273

朝比奈さんの生誕100周年記念盤の数々を聴いているところで、原点に立ち戻り、聖フロリアンでの実況録音を聴く。 ビクター VDC-1214

以下をクリックすると、タワーレコードのサイトに行き、一部試聴ができます。

↓  ↓  ↓

 

4988002128273聖フロリアンのブルックナー 交響曲第7番

これは、最初FMで放送され、その後ジャンジャンから出た最初のLP全集のオマケについていたもの。このオマケ盤はLP1枚に切られていたので、音に余裕がなかった。その後、ビクターからLP2枚4面で一般発売された。これで、ものすごくいい音のLPが出たわけである。CD化されたのは1987年で、それから番号を変えることなく販売されている長寿CDである。私は、1枚目は傷をつけてしまい、うまくトレースしなくなったので、2枚目を買った。

この演奏については、朝比奈さんが、日本経済新聞の「私の履歴書」で書いているし、いろいろなエピソードが語られている。演奏会の前にブルックナーには宗教性が絶対必要だと話しにきた紳士の話、レオポルド・ノヴァークが聴きに来ていて、演奏会のあとで、朝比奈さんがノヴァーク版を使わなかったのでわびたが、楽譜は学者の仕事で演奏に版は関係ないと答えたという話(これは朝比奈さんがこう言っていた。「すばらしい演奏のまえには版の問題は関係ない」というのは、ちょっとニュアンスが違う)、演奏会のあとで、一聴衆(たしか放送を聴いたとか)から手紙がきて、今まできいたどんなブルックナーよりすばらしかった、ワルターやクレンペラー以上だったとか、録音したらぜひ買いたいと書かれてあった。

この実況録音のビクターのLPが出たとき、第2楽章と第3楽章の鐘の音も録音されていた。最後の拍手も全部LPに収められていた。レコード芸術誌では、N響アワーの司会をしていた某音楽評論家が、このことをバカにするような批評が書いていた。演奏についても、日本のオケは下手で、とくに後半へたっている、ということしか書かれていなかった。ほとんど、門前払いの批評だった。朝比奈さんの録音がレコード芸術誌で絶賛されだすのは、宇野さんが批評を書き出してからである。ある日突然、レコード芸術の交響曲部門の担当がいつのまにか宇野さんになっていて、それを知らずに読んでいて、大フィルをほめている記事があったので、一瞬アレ?と思ったものだ。

この鐘の音、実際聖フロリアン教会に行くと、本当にこんな風に聴こえる。チーン、チーンと、非常に遠くから小さい音で。これくらいなら、演奏中になっても聴こえない。ただ、私はブルックナーオルガンのある大聖堂できいたが、この演奏会はマルモアザールで行われたものである。このホールが違うこと、帰国してから気づいた。やはりマルモアザールはみてみたかった。この旅行のとき、ここを訪問したのは、日曜の朝。ミサをやっていた。オルガンといいコーラスといい、天国からの響きのように聞こえた。

この聖フロリアン教会でブルックナーの交響曲が演奏されたのは、この朝比奈さんが世界最初だという話をどこかで読んだことがある。これが好評だったので、このあと、いろいろ取り上げられているという。現地で買ったLPは、ヨッフムの8番。それから、あとで、ピエール・ブーレーズ~ウィーンフィルの8番がある。カラヤンもやっている。

この演奏が実現したのは、大阪フィルの最初のヨーロッパ公演だが、当初予算が足りなくて、大阪で募金活動をしていた。壮行会というか、直前の定期演奏会でもこの7番をとりあげた。私はこの演奏会をききにいったのだが、それまでの大阪フィルとはまったく違う、清涼なサウンドに驚いたものだ。しかし、大フィルがここでブルックナーの演奏会をやるなんていう企画、誰が考えたんだろう。東洋のわけもわからん連中が、ここに眠る大作曲家の交響曲を演奏するなんて。当初は、リンツのホールでやる予定だったのだ。

※その後知ったのは、事務局の小野寺さんがリンツ公演に執念を燃やしていたということと、当日、
ホールとホテルが大きな学会があるとかでたまたま空いていなくて、マルモアザールはどうか、
という話になったらしい。

大フィルがこの演奏旅行で演奏したブルックナーの7番は、ほかの場所での録音もある。ぶらあぼがネット配信で時限を設けて出していたのだが、私はききそびれた。そのうち、出てくると思っていたからだが、その後出てきていない。100周年の記念で、新しいソースはまだ出ていないので、ぜひ出してもらいたい。

※この「ぶらあほ」の配信は、発売されたオランダのものとはちがうスイス公演だったと思う。

しかし、この演奏、奇跡としかいいようがない。あの下手な大阪フィルが、実に澄んだ美しい響きを出している。残響が長いので、いつもとはちがって弦主体で金管は押さえているようだ。テンポは著しく遅く、ほかの演奏とくらべて10分くらい長い。練習中、ゲネラルパウゼのところで、響きが長くのこるのをきいて、オケのメンバーはにっこりとして、このパウゼの意味を知ったという。このホールは小さいので、全員がステージにのれたわけではなく、ちょっと小さい編成ということもあって、響きがきれいなんだろう。第2楽章と第3楽章の間にちょうど時報の鐘が鳴った、というのも神がかりのような物語として語られている。これは、意図的だったか偶然だったかわからないが、本当にエピソードだらけの演奏である。

ただ、この演奏、朝比奈さんのほかの録音と比べるとかなりスタイルを異にしている。テンポが非常におそいこと、金管の音量が少々押さえ気味であることなど。こういうスタイルの演奏、このあと何回も録音されているが、二度と出てこなかった。このホールの音響が生んだ奇跡の超超名演奏となった。

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