ブルックナー ミサ曲第3番 朝比奈隆 大阪フィル 1980年

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この演奏は、1980年の大阪フェスティヴァルホールにおける定期演奏会です。

プライヴェート盤が作られました。

私は、この時点で、すでに団員ではなく、演奏には参加していませんが、東京からかけつけて、聴きにいきました。

大阪フィル合唱団が1曲の練習に半年というのが通例だったのに、朝比奈の御大がわざわざ1年かけて練習した、熱意の産物です。

この演奏を聴いて、私は、涙がとまりませんでした。

おわってからの打ち上げで、バスがベネディクトゥスの旋律はわれわれしかないんだ、と自慢気に語っていたのを思い出します。

その後、カテドラルでもっとすっきりした演奏がなされ、それはLP、CDで公式に発売されましたが、こちらは、このプライヴェート盤しかありません。

公式録音ではないので、音の品位はすこし落ちますが、きれいな録音です。

この演奏の原因になった飲み会のもようを再録しますね。

朝比奈さんの思い出

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ブルックナー ミサ曲第3番 朝比奈隆 大阪フィル 1983年 カテドラル

ブルックナーのミサ曲第3番ヘ短調の演奏である。

東京カテドラルの2回目のシリーズでのライブ録音

朝比奈隆&大阪フィル、他/ブルックナー:ミサ曲第3番

朝比奈隆(1908年7月9日生~2001年12月29日没)生誕100周年目を迎える今年、21年間再発されなかった貴重な音源を最新のマスタリングを施し再発売!!(ビクターエンタテインメント)

・ブルックナー:ミサ曲第3番ヘ短調WAB.28[原典版]
 中沢桂(ソプラノ)
 林誠(テノール)
 井原直子(アルト)
 勝部太(バス)

 大阪フィルハーモニー交響楽団
 T.C.F.合唱団(合唱指揮 辻正行)
 朝比奈隆(指揮)
 録音:1983年9月16日、東京カテドラル教会マリア大聖堂ライヴ(デジタル)
 [最新リマスタリング盤]

最初LPで出て、ずっと入手できなかった貴重なソースで、朝比奈さんの生誕100周年記念でCD化された。音質もとてもよい。

1980年に、大阪で一度この曲を取り上げているが、この演奏は、1983年に朝比奈さんの音楽生活50周年を記念して行われた東京での3日間かけたオール・ブルックナープログラムのひとつである。

朝比奈さんは、この会場になった東京カテドラルをいたくお気に入りのようだったが、これ以後、ここでは行われなかった。

この演奏会、私は、実際に聴いている。3夜にわたる演奏、全部聴くことができた。私がカテドラルで聴いていないのは、第1回の8番だけである。

最初に、ブルックナーの交響曲第3番のアダージョ第2番が演奏された。そしてこのミサ曲。

最晩年の演奏を聴いているなかで、この時期の朝比奈さんの演奏を聴くのは、実に好ましく、音楽が非常に元気である。なにより、音すべてに勢いがある。そのもっとも好ましい演奏のひとつではないだろうか。そして、音色が暖かい。

大阪での1980年の演奏と一番違うのは、合唱。TCF合唱団で、指揮者の辻さん自身もステージにたっていた。大フィル合唱団よりもずっと清涼は響きであるが、味わいという点では、こちらの方が蛋白。しかし、会場で聴いたときの印象と比べると、はるかに、熱い演奏である。実にすばらしい。

それと、やはり会場の残響が非常に長いのが特徴。だから、大フィルの音もすごく雄大に聴こえる。

最初のキリエから、全体のトーンが非常に前向きで人生肯定的で、すばらしく生命力があるのに、驚かされる。

グローリアも、非常に太い流れのまま、すばらしい音響空間となっている。ただ、残響が長いために、音がちょっと混濁気味。

クレド。力つよく、確信にみちた音楽である。コーラスの表現も深い。実に堂々とした非常に熱い音楽である。

サンクトゥス。線が太くて、比較的ぶっきらぼうで、あまり洗練されていなくて、非常に重量感のあるサンクトゥス。朝比奈さんらしいといえば、そういえる。

ベネディクトゥス。最初にチェロが非常に美しい旋律を奏でる。この美しい旋律が全体のトーンを決めている。非常に優雅な音楽だが、表現は、いつものように淡々としつつも、非常に味わいがある。

アニュス・デイ。非常に丁寧な音楽作りをしている。最後にふさわしく、非常に雄大な音楽に仕上がっているが、あたたかさと静けさももっていて、なんとも味わい深い。最後のコーラスで静かに終わるところは、非常に感動的である。

このミサ曲の演奏のなかでも、その生命力、幸福感という点から屈指の名演奏であるといえると思う。

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朝比奈隆 ブルックナーを語る (ビクター全集の特典CD)

ビクター全集の特典としてつけられたCDです。

いまは、復刻されて単独に入手可能です。

朝比奈隆 ブルックナーを語る

朝比奈さんと宇野さんの対談です。

ステレオできれいな音です。

ベートーヴェンは使命感、ブルックナーの場合は使命感かもしらんが、あまりにも系統的に聴かれていない、特別な存在、あのタイプの作曲家(あの作風)は以後あらわれなかった。完璧なロマン、様式を模索しているが、全体としてひとつの作曲家がひとつの特別の世界がある。意外とヨーロッパの演奏家もいいとこどりしている。全集でもあちこちにやったものを並べただけ。良かれ悪しかれ、やったものを全部記録しておきたいというビクターの申し出があったのでお受けした。

ブルックナーの音楽の特色

楽譜の書き方は、ベートーヴェン以来そうかわっていない。ブルックナーの場合は、曲にもよるが、1、2、3、6は、これやったら、どういう音になるか、譜面から出てこないので、やってみるしかない。こうやってもうまくいかないというか、失敗の積み重ねが必要。0番は、手をいれるというか、アーティクレーションが何も書いていないので、かなりいろいろやってみた。適切かどうかわからないが。それ以外はいじらないでやったが、いじらないでやるのが難しい。改訂版がでたのは、いじらざるを得ないのだろう。

ブルックナーの演奏としてきをつけること

マーラーやワーグナーはちゃんとした譜面だが、そのとおりひけばいいが、ブルックナーはどういう奏法をしたらいいか考えなければならない。スラーはずっとつづいているし、同じようなのがつづいているし、主題は長いし。管楽器はオルガンストップのような書き方、しかし息をするところがない。
最初やったのが1954年で、最初は、そういう模索をしていた。何十年もやっていたら、見当もついた。新しいオケとやるときの説得力もつけたし、自分用の楽譜もできた。昔貸し譜しか使えないときがあった。アメリカはワシントン条約を批准していないので、海賊版が多い。資料の点で、貸し譜だった。しかたなくて、写譜をした。みんなつかっているので、いろいろ書いてある。そのうち、パートでもいろいろある。今は、スコアは新しいものをアメリカ版で買う。今は楽になった。今は、全部指揮者の責任になる。写譜なら、前の人のあとがある。そんなことをしているうちに10曲はいってきた。

なんて、続いてます。

第0番

どうやっていいかわからないところが多い。
発想が非常に自由なところと、一般的な作風の両方あるが、特徴はあんまりでていない。

第1番

第1楽章の最初は、すばらしい。あれを思いついたから書いたのだろう。最後は古典派みたいで困っちゃう。はじめて自分の作風。

20台のころ、演奏を聴いたことがある。宝塚でやった。

メッテルに怒られた。生涯はじめてブルっクナー。

  あとで書き直したのは、違う作品になっている。

第2番

はじめのところ、なかなかいい。

ラインランドでオパーのオケでやった。最初のチェロ、意外に難しい。弾いているほうがむずかしい。ホルンが大変上手だった。そのときの鴛鴦はとてもよかった。ゲルゼンキルヘン。

ホルンで、自然音であがるのは、大変難しい。

あんまりヨーロッパではやらない。

オーケストレーションに慣れていないということですか。

ほしい動きをそのまま書く。それが必ずしもやりやすいかどうかわからない。

第3番

これも2番と同じような難しさがある。

この2つの曲は演奏家の責任である。いい演奏をすれば、作品のいい部分が伝わる。

コンパクトで作り上げた。

あんまりやりたくない。

すらすら出来ているが、

第3稿やったことがあるが、クリングスハイムが来て、いろいろしかられた。本屋にあったからとはいえない。実は自分の意見がなかった。普通の指揮者は、みなこれをやる。それで全部やろうと思って、全部やってみた。

ワーグナーの引用については

ワーグナーは偉大だと思うが、オーケストラに非常に特徴がある。中音域の楽器をよく使う。それ以外では、音楽そのものは意味があるが、オーケストレーションについては、あとに影響を残していない。ただ、大規模なこと、長大な音楽でやる、というのは影響があるかもしれない。演劇的には才能あり。オケとしては、マーラーとかリデャルト・シュトラウスは旨い。ワーグナーは影響を与えていないのは、むしろ、マーラーの方がブルックナーの影響があるように、ブルックナーの影響力がある。ワーグナーシンフォーニーというが、だんだん色があせてくる。

第4番

きのう、新日本フィルでやったが、技術的に完璧だった。

ロマンティっクという名前は?コントラストがはけしい、というような意味。

第5番

第4とはずいぶん違う。出来がよくなっている。

4と5はバロック奏法を意識しないといけない。とくに弦。オルガンからきている。

5はバロックの建築。

5が一番大シンフォニー。6から出直しをしたよう

第6番

第1は立派。フィナーレが魅力はない。演奏が悪いのかもしれない。通しでどうやっていいかわからない。東京交響楽団の6番はいいとこいっている、と思う。

リンツでブルックナーをやった。ウィーンのオケがやったことがない。惨憺たる出来だった。東京の方がいい、日本はわけがわからなくても一生懸命やるので、なんとかなる。

6番は、ちょっと新しい書き方を模索。第1の編拍子はおもしろい。

第7番

一番やりやすく、ポピュラー。

4楽章が短いが、展開部が倍くらいほしいね。すぐすんじゃう。根気がなくなったか。

第8番

本当に立派な作品。

目白で、8番やった。若い客ばっかりだった。大変な感動だったらしくて、若い客が泣いている。悲しいわけでないのに。泣いて泣いて、今度は、帰らない。30分近く舞台にいました。教会の十字架がなんともいえない。

このひと、精神的なものが多い。

弦のボーイングは、自分が考えたボーイングでないとうまくいかない。自分がヴァイオリンをやっていたのでできる。貸し譜はダメ。

フルトヴェングラーみたいな人がなぜ12小節ぬかすんでしょうね。

クレンペラーはフィナーレの展開部がない。ほかの人は真似しないように、ともいっている。

第9番

未完成でよかった。

曲としてすばらしい。

なんとも余情があっていい。

こころこめてやれば、あれにフィナーレはいらない。

2楽章がデモーニッシュ。

原典版がいい。

フルトヴェングラーに会わなかったら、レーヴェのをやっていた。あれは助かった。まったく違うものになってしまう。

決してやさしくないが。

最後にひとこと

ブルックナーに限らないで、ベートーヴェンでも同じだが、大作曲家がいて、誰が偉いということはないが、精神的に対象になるのは、ベートーヴェンよブルックナーだろう。

この二人に圧倒的に、日本の聴衆が多い。

こういう音楽をもとめている。日本の聴衆はすばらしい。感動して興奮するということが、あまりない。日本は、中学生、高校生が来るんだ。すばらしい。

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ブルックナー 交響曲第9番 朝比奈隆 新日本フィル 1980年 カテドラル ビクター

これは、東京カテドラルシリーズのライブで、XRCDで再発されている演奏と同一です。

朝比奈 ブルックナー 交響曲第9番

これは、東京カテドラルで最初に行ったライブシリーズの第2回目であり、公演のときには、いろいろ物議をかもしたものである。第1回のロマンティックは、非常にパカスカと気持ちのよい演奏だったのに対し、これはあまり乗り切れない、と思った若者が多かったのである。それで、おわってから何人かマニアがあつまり宇野さんを囲んでいろいろ話をした。若者たちは、今日の演奏は不満だとの声が多かったのである。そうしたら、宇野さんは、今日の方がロマンティックよりずっとよい。このよさ、若い君らにはわからんだろうな、と言ったのである。で、その時にアンチ宇野をたくさんつくってしまった。宇野さんは、その前からブルックナー協会誌にわるい演奏は撲滅しようと言っていたので、そんなの感じ方は各人の自由ではないか、と主張する若者の反感を買っていた。というわけで、物議をかもした演奏なのだが、(そのとき、私も不満に思った一人なのだが)いま聴いてみると、これ、なかなかいい演奏なのである。)

残響がすばらしこともあるが、きわめて分厚い音色が楽しめる。

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ブルックナー 交響曲第8番 朝比奈隆 大阪フィル 1983年 カテドラル2 ビクター

この演奏は、東京カテドラルの2回目の演奏会のライブで、XRCDで再発されている演奏と同じです。

朝比奈 ブルックナー 交響曲第8番①

朝比奈 ブルックナー 交響曲第8番②、第1番

この演奏会は、東京定期演奏会で3つのプログラムを東京カテドラルで連続して演奏するという暴挙の一部です。これは、最初CDで単発されました。

この3つの演奏会は、幸い全部聴いています。とくに、この第8番は、1980年のチクルスの最後の演奏会を聴き逃がしていることからも、まさにリベンジでした。

この録音、すばらしいです。私は、どうしても、この教会の長い残響で聴くのが大好きなのです。とくに大フィルのちょっと荒い音が見事に美しく変身するのです。

朝比奈さんの第8番の演奏は、ほとんど非常にレベルが高いです。録音しているもの、みんなレベルが高いです。オケもいつもなぜか好調なのです。朝比奈さんの棒もこの曲の場合、けっこうわかりやすいのです。自信のあらわれでしょう。私は、朝比奈さんの指揮で、この曲の生演奏を20回近く聴いていますが、そう感じました。

今回、あらためて、この演奏を聴いて、すばらしいと思いました。カテドラル、なつかしいです。
録音が本当にきれいです。残響、ものすごく長いのですが、録音ではちょうどよくて、まろやかな音になっています。とりかた、うまいです。

朝比奈さんらしい、人生肯定的な、すばらしいブルックナー演奏です。聴いていて幸せな気分になります。

第1楽章、最初から純度の高い演奏をしています。音が澄んでいます。音楽もきれいに流れます。

第2楽章、とてもきれいに音楽が流れます。変に重過ぎず、ずばらしいです。

第3楽章、比較的あっさりしていますが、ホールの響きがきれいで、非常に美しい音楽を奏でています。非常に心がこもっていますが、後年のものとくらべると力がはいっているのに、音楽が軽く感じるかもしれません。後半のもりあがりは本当にすばらしいです。これが、ハース版なのがうれしいですね。全部の旋律がきけますから。22分以降のクライマックスも、ホールのせいで、音がやわらかいですね。やはり、この部分は、最晩年のものにはかないません。あの壮絶さはなくて、もっと健康的です。しかし、そのあとの音のやさしさは何とすてきなんでしょう。

第4楽章、ゆったりした足取りで、ホールの響きを大事にして弾いています。ここでは、金管楽器が見事にきまっています。全体に響きが非常にのっており、音に勢いもあります。最後は圧倒的な迫力でおわります。

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ブルックナー 交響曲第7番 朝比奈隆 大阪フィル 1983年 カテドラル2 ビクター

これは、東京カテドラルの2回目の演奏で、XRCDで再発されているものと同じ演奏です。いまは単独で入手できます。

朝比奈 ブルックナー 交響曲第7番

東京カテドラルにおける1983年のシリーズでの演奏会。

このときは、わずか4日で3演奏会、それも7,8の交響曲とミサ曲第3番を演奏しています。それも東京定期演奏会として行われたものです。

当時はタフだったですねえ。

私は幸い、全部の演奏会に行きました。

東京カテドラルは、相当残響が長いのですが、この録音は、たいへん上手で、音がかぶりません。残響がきれいにはいっています。その分、オケの音もきれいに聴こえます。

朝比奈さんとしては、ブルックナーはこの第7が一番演奏回数が多いのです。だから、こなれた演奏が多いです。これも非常にすばらしい演奏です。第7といえば、あの聖フロリアン盤ですが、あれば神のなせる業で、何から何まで特別です。あれは、すべてが別格。

朝比奈さんは、ここの場所を気に入っていたようなのですが、これ以降実現しませんでした。宇野さんが反対したからでしょうか。

録音は非常にすばらしいです。XRCDになったものは、すごい情報量です。

第1楽章

最初からテンポがはやいです。すっきりした表現です。きれいです。大阪フィルの音とは思えません。音楽がなかなかきれいに流れます。あの聖フロリアン盤はものすごくゆっくりですが、あれは特別で、朝比奈さんの7番はだいたいこのテンポです。中間部はなかなかねばりのある表現です。全体的に表現がこなれていて、よどみがないです。第1楽章コーダは、例によって超スローテンポです。

第2楽章

静かなのと、音が比較的弱いのがめずらしい。そのうち乗ってくるが、かなり旋律の動きも固いところがあるが、ホールがうまくはたらいて、きれいに聴こえます。比較的表情がおとなしい。

第3楽章

重量感と表情豊かさをもった、なかなかすばらしい演奏です。残響もうまく利用しています。

第4楽章

かなり自由な表現でぐいぐい進む。オケがけっこう疲れてきたのか精度がさがってきているが、ホールトーンがうまくそれを隠す。一気にフィナーレにすすむ。

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ブルックナー 交響曲第6番 朝比奈隆 東京交響楽団 1980年 ビクター

ビクターのブルックナー交響曲全集にふぃるアップされている演奏です。

東京交響楽団の演奏会のライブ。東京文化会館。1980年です。

朝比奈 ブルックナー 交響曲第6番

これは、単発されず、全集がでるとき、どうするんだろうと思っていたら、こういう思いがけない録音が残っていた、という感じでした。

第6番は演奏回数が少なく、私は朝比奈さんの実演を聴く機会はありませんでした。

この演奏、大阪フィルではないので、音が比較的明るく、アンサンブルも比較的まとまっています。表現が意外に淡白です。

朝比奈さんと東京交響楽団は相性がけっこうよくて、晩年にもいろいろ演奏しています。

ブルックナーとしては、第5番で一旦リセットして、またあらたにスタートした、というようなことを朝比奈さんが対談で言っています。ただ、演奏は相当むずかしいようです。

録音は悪くないが、比較的明瞭度が低いというか、少しヴェールがかかったような印象があります。

第1楽章

比較的淡々とはじまります。仕上げが比較的きれいです。全体的にすっきりしてはいます。しかし、あんまり洗練された響きではないのと、テンポもけっこう動きます。

ただ、最後のキャニオンの方はもっとすっきりしているのに、もっとしみじみもしているのです。この曲、なかなか表現が難しいです。

第2楽章

ブルックナーで、もっとも美しい音楽のひとつだと思います。ロマン的でなく、淡々とやってかつ泣かせるという意味では、後年の7,8,9にもないものがある、空前絶後の名曲です。7.8.9は感情を込めてなかせる音楽。(そのなかでも本当に天国的なのは、実は朝比奈さんのキャニオンと、ヴァントのミュンヘンフィルでしょうね。)

ゆっくり、しずかに始まります。表情は比較的淡白。あの第2主題は、出だしは不調なのです。しかしヴァイオリンはすばらしい。そのうち盛り上がってくるとなかなかの音を奏でます。そのあとのしみじみした第3主題はかなり淡白ですが、なかなかきかせます。後半は本当にすばらしいです。

第3楽章

低音部がしっかりテンポをきざみ、ヴァイオリン、管がのってきます。あんまりがちがちではない感じ。思ったよりも淡白。

トリオは、あっさりとしていて、かつ空間がきれいです。

第4楽章

ここに来てエネルギー全開ですね。かなりテンポが速いので、おもったより重量感がありません。このころは、テンポの緩急がけっこうあります。それが後年になると、もっとインテンポなのに、表現の幅が出ます。これが円熟なんでしょうか。第2主題はかなりねばっこい表現です。その後も一気に行きますが、意外にあっさり目です。

全体的に言って、この6番は、比較的淡々として、音色も明るくて、比較的軽めの表現です。

こういって、キャニオン盤聴くとおもしろいですよ。もっと軽くて、すっきりしていて、淡々としているのですが、もっともっとせまるものがあって、もっと感動します。音楽の円熟とは、難しいものです。

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ブルックナー 交響曲第5番 朝比奈隆 東京都交響楽団 1980年 カテドラル ビクター

ビクターの全集に含まれている演奏だが、もとは、1980年に行われた東京カテドラルの第1回目のひとつで、最初は、このカテドラルチクルスのLPセットで発売された。

朝比奈 ブルックナー 交響曲第5番①

朝比奈 ブルックナー 交響曲第5番②、第0番

私にとって、第5交響曲を心底堪能した最初の演奏ということで、思い出深いものである。
この演奏会が終わって数日間、あたまのなかで、この曲が鳴り響いていた。

東京カテドラルの響きがすばらしく、とくに第4楽章のコラールのあとの弦楽合奏が静かにはいるところなど、いまでも思い出して鳥肌がたつ。全体的に流れがよく、大フィルの演奏よりスマートに感じる。会場のひびきもあるが、とてもリッチな響きが楽しめる。

東京都交響楽団の響きも美しい。

朝比奈さんは、このチクルスをやっていて、東京のオケがあまりにもすばらしく大阪フィル大丈夫かな、と思った、とこのシリーズ最終公演後の懇親会で語っていた。

・ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調(原典版)

 第1楽章 Introduction: Adagio – Allegro [22:30]
 第2楽章 Adagio, Sehr Iangsam [17:05]
 第3楽章 Scherzo: Molto vivace, schnell [14:33]
 第4楽章 Finale: Adagio – Allegro moderato [27:09]
 東京都交響楽団
 朝比奈隆(指揮)

 録音:1980年9月3日、東京カテドラル聖マリア大聖堂(ライヴ、ステレオ)

この演奏は、XRCDで再発された演奏と同一です。

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ブルックナー 交響曲第4番 朝比奈隆 大阪フィル 1989年 ビクター

ビクターの全集に含まれているもの。

朝比奈 ブルックナー 交響曲第4番

ビクター盤は、基本的にカテドラルのライブをメインにしているが、日本フィルのあの記念碑的な演奏ではなくて、大阪フィルのライブを採用している。このビクターの全集、やはりよく演奏される4番は大阪フィルということにこだわったのだろう。

名演だったカテドラルのライブは、ながいこと手にはいらなかったが、今は、タワーレコードが出している。あの実演での興奮はわすれられない。

これは、1989年2月17日の大阪フェスティヴァルホールのライブ。

この演奏のライブはきいていない。このころの大阪での演奏会にはほとんど行っていないのである。

ジャンジャンのものよりはるかに透明感があり、すっきりした印象がある。

第1楽章

最初のホルンの音が澄んでいない。が、そのつぎの弦からは音の純度が高くなる。あのジャンジャンのような、ものすごくうきうきする名調子はないのだが、十分な推進力をもってぐいぐいとひいている。やはり中間部以降なかなか快調で、金管の音も澄んでくる。

第2楽章

おちついた足取りで、なかなか美しい演奏。ジャンジャンのときより、音質的には、向上している。

第3楽章

音に勢いがあるが、金管の音の純度が低いのが気になる。音の構成力とか、じゃんじゃん盤よりもスケールが大きくなっている。

第4楽章

最初のところの音のたての線がそろっていない。比較的合奏が雑なところが目立つ。音の勢いはあるが、どうも音が汚れてくるのが少々残念ではある。

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ブルックナー 交響曲第3番 ノヴァーク第2稿 朝比奈隆 大阪フィル 1984年

朝比奈さんのビクター全集にフィルアップされているもの。

朝比奈 ブルックナー 交響曲第3番

この演奏は、アダージョ第2番とあわせて最初LPで出た。そのとき同時にこれだけがCDで出たのだが、LPを買わなかったのは、今にして思えば痛恨事である。しかし、その後ようやくアダージョも出たので、何とかなったが・・・。

1984年大阪フェスチヴァルホールでのライブ。

録音は、ホールトーンをよくひろっていて、なかなかすばらしい。

ジャンジャン盤と比べて音の品位はずいぶんあがっている。

朝比奈さんとしても、この曲は苦手にしている。対談でも、できたらやりたくない、とまで言っている。

楽譜は、ハース版がないこともあって、いろいろやっている、これは、ノヴァークの第2稿によっている。

基本的に。ジャンジャンと比べても淡々とした演奏。

第1楽章、淡々とすすみ、どちらかというとあっさりした表現、ある意味乗り切れないところもあるかもしれない。

第2楽章、こちらも淡々としているが、音楽がよく流れ、スケールも大きい。

第3楽章、スケルツォ。刻みがしっかりしていて、比較的ゆっくりめのテンポで、なかなか雄大である。
トリオは、中庸のテンポで、チェロの主題も美しい。流れも悪くない。

第4楽章、こちらは、ぐいぐいとかなりエネルギッシュ。最後までスケールの大きい音楽がつづく。この稿だと、エーザー版とくらべてカットが多く、あっさりと終わってしまう。

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