ベートーヴェン 交響曲第6番 朝比奈隆 大フィル 学研 1973

ベートーヴェン 交響曲第6番
朝比奈隆指揮 大阪フィル
1973年8月7日
大阪厚生年金会館中ホール

響きが綺麗。
第7番とは同じ日なのに。

厚ぼったくて、洗練さがないというか、ドロっとしていて、あんまり田園交響曲というイメージはない。
しかし、オーケストラは十分鳴っていて、音楽としては、非常に充実感がある。

Share

ベートーヴェン 交響曲第5番 朝比奈隆 大フィル 学研 1973

ベートーヴェン 交響曲第5番
朝比奈隆指揮 大阪フィル
1973年7月18日,8月7日
大阪厚生年金会館中ホール

同じホールなのに第7番とはまったく違う響き。
豊かな響きがあるので、あまりゴツゴツとした印象がない。

じゃじゃじゃじゃーんが、非常に豊かで分厚い。
そのあとのテンポはゆっくりだが、表現におおらかさがある。

第2楽章は、意外にはやい。音に厚みがあり、なかなかおおらかな音楽のつくり。

第3楽章から、なかなか充実した響きを見せる。

Share

ベートーヴェン 交響曲第4番 朝比奈隆 大フィル 学研 1973

ベートーヴェン 交響曲第4番
朝比奈隆指揮 大阪フィル
1973年8月8日,9日,10日
大阪厚生年金中ホール

驚くべき名演である。

響きもよく、表現も後年のものとほとんど同じで、非常に完成度が高い。
軽快さとは無縁で、非常に正攻法の迫力のある表現。
後年のものより、テンポもおそく、いくぶんガチガチしている分、骨太さを感じる。新しいものより、表現が徹底しているともいえるかもしれない。
音色もなかなかいい。

Share

ベートーヴェン 交響曲第3番 朝比奈隆 大フィル 学研 1973

ベートーヴェン 交響曲第3番
朝比奈隆指揮 大阪フィル
1973年8月9日
大阪厚生年金会館中ホール

後年のベートーヴェンでは、圧倒的に名演が多いエロイカだが、やはりこの曲は、朝比奈さんの体質にあっているというか、この最初の全集でもなかなかいい演奏である。やはり野暮ったさは残るが、すごい推進力だし、なかなか充実した響きである。
後年のものと比べると、非常にオーソドックスで、何もしていない感覚があるが、それでいて、この曲の本質もしっかり表現できている。しかし、ビクターの名演も1977年だから、あんまり時間がはなれていないのだなあ、といまさら思う。フロリアンだって、1975年だ。
後年のものとの違いは、時期よりもセッションかライブかの違いかな、とも思える。ライブでの凄さはやはりない。それと、音色がちょっと単色系というか、最晩年のものは、もっと音色が多いという感じ。77年のものより、ある意味表現に一貫性があって、これはこれで非常に立派な演奏。

大フィルの音色は、やはりまだ野暮ったさはある。
大フィルの音色が急に純度を増すのは、1975年からである。
あのヨーロッパの演奏旅行の前に、ものすごく鍛えられたのである。その証は、旧大フィル練習所の譜面台で見ることが出来た。譜面台に電子オルガンがついていて、これで、ピッチをあわせる練習をしていた。だから、ヨーロッパ出発前のフェスティバルホールでのブルックナーの第7の音がそれまでと全然違っていたことを思い出す。それがあのフローリアンの演奏につながることになる。

Share

ベートーヴェン 交響曲第2番 朝比奈隆 大フィル 学研 1973

ベートーヴェン 交響曲第2番
朝比奈隆指揮 大阪フィル
1973年8月8日
大阪厚生年金会館中ホール

第1番とつづけて聴くと、音質がずいぶん違う。
会場は同じだが、翌日。
非常にきりりと引き締まった表現で、なかなかスタイリッシュでもある。
なかなかスケールも大きい。すばらしい演奏である。

Share

ベートーヴェン 交響曲第1番 朝比奈隆 大フィル 学研 1973

ベートーヴェン 交響曲第1番 
朝比奈隆指揮 大阪フィル
1973年8月7日
大阪厚生年金会館中ホール

響きが綺麗で、なかなか雄大な演奏。
非常にきちんと演奏されていて、あんまり小型シンフォーにーの感じがしない。シャレた感じもある。

Share

朝比奈さんのベートーヴェン交響曲全集・選集 まとめ

ここで、朝比奈さんのベートーヴェンの交響曲全集について整理してみます。チクルスは9回やっていますが、録音されたのが8回です。
ただし、第8回の分は、演奏が原則として2種あります。
ほかにNHK交響楽団、倉敷音楽祭のものが全曲ではないですが、あります。

全集 第1回 大阪フィル 学研 1972/3 LP のちにCD化
全集 第2回 大阪フィル ビクター 1977/8 LP のちにCD化
全集 第3回 大阪フィル ビクター 1985 LPとCDが同時
全集 第4回 新日本フィル フォンテック 1988/9 CD、SACD、映像DVD全集あり
全集 第5回 大阪フィル キャニオン 1992 CD
全集 第6回 大阪フィル キャニオン 1996/7 CD、SACD、映像DVD全集あり
全集 第7回 新日本フィル フォンテック 1998/9 
全集 第8回 大阪フィル エクストン 2000 CDバラ、SACD全集
全集 第8回 大阪フィル エクストン 2000 完全版SACD
選集 NHK交響楽団
選集 倉敷音楽祭 1989/1996

第2回のものは、最初CDになるときに、第5番がチクルスで演奏されたものではないほかの演奏になっていました。最近再発されたものは、もとのものに戻りました。第2回は荘厳ミサとハ長調ミサもついています。この第2回目のものについては、第9とハ長調ミサは、私も合唱で参加しています。実際に生で聴いたのは、第8回のだけです。
第8回は、原則として2つの演奏の組み合わせ、たとえば、サントリーとシンフォニーというようになって2枚組で出ていました。のちに片方だけとってSACDのセットになりました。

朝比奈さんのファンなら、全部欲しいところですが、

とくに素晴らしいのは、第2回、第4回、第8回だと思います。
もちろん、第1回もおもしろいです。
そのほかのものは、演奏の歴史を聴くにはいいですが、いまから聴くとすれば、4つかな。

大阪のローカルオケとしての第1回。
東京での演奏もあり、日本のメジャーとなったのが、第2回。
新日本フィルはやはりオケが違うので、全然スタイルば違います。
最後のものは、やはり完成度が高いです。

ものによって入手が難しいものがありますが、朝比奈さん生誕110周年以降、順次再発売されています。
第1回、第2回、第4回、第5回、第6回、第7回、第8回は、入手可能です。

第5回は2020年4月にタワーレコードから再発されました。

Share

フルトヴェングラー 交響曲第2番 朝比奈隆 大阪フィル 1984 東京文化会館

4988002520534

フルトヴェングラー 交響曲第2番 朝比奈

フルトヴェングラーの交響曲第2番については、朝比奈さんが、なぜか演奏することに執念をもやした曲です。やりたくてやりたくてしょうがなかった。

それで、とうとう実現したのです。

オーケストラは、この曲をやることをおそれていたそうです。

それで、やはり大変でした。

大指揮者ですが、作曲家としては、どうみても一流ではないというのが、大方の評価でしょう。

しかし、そんなことは関係ないのです。朝比奈さんがフルトヴェングラーその人に心酔しているわけです。

それもその思いがタダモノでないのは、それが、第200回定期演奏会という、キリ番の会に用意したのです。それが、大阪の演奏会。それから、東京にもっていきました。

録音が残っています。1984年7月2日、東京文化会館、ライヴ録音です。

当初ビクターで出ていて、すぐに廃盤になりました。

ネットオークションでは、相当な価格がつきました。

そうしたら、タワーレコードが復刻しました。

今は、タワーレコードで買うことができます。

曲は、やはり退屈なんですね。長いだけ、としか・・・。

【曲目】
DISC-1
フルトヴェングラー:交響曲第2番ホ短調
第1楽章:アッサイ・モデラート・アレグロ
第2楽章:アンダンテ・センプリーチェ

DISC-2
フルトヴェングラー:交響曲第2番ホ短調
第3楽章:ウン・ポーコ・モデラート
第4楽章:ラングザーム・アレグロ

【演奏】
朝比奈隆指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団
【録音】
1984年7月2日、東京文化会館(ライヴ)

Share

ブルックナー 交響曲第8番 朝比奈隆 大阪フィル カテドラル1回目 1980

この演奏会について、LPが出たときに、カメラマン木之下晃氏は、「神が祝福を与えた」と書いた。今回のCDにも、それは再録されている。

私は、この日のチケットを持っていながら、会社の送別会があって、かけつけたときは、スタンディングオヴェーションのさなか。これだけ、みんなが立って拍手したのを見たのは初めてだった。その後のブルックナー協会の総会で、私は世界一不幸な人と言われた。

当日、朝比奈さんは、会心の演奏だったらしくご機嫌だった。このシリーズ、東京のオケがどこもすばらしく、大フィルだいじょうぶか、と思ったが、さすが大フィルだ、と熱っぽく語っていた。

朝比奈さんのブルックナーの8番の超絶的名演奏というのは、かなりたくさんあって、この時点ではこれがピークだろう。私が聴いた最初の8番の超絶的名演は、ジャンジャンの公開録音。そのつぎは、私はナマを聴いていないがこの演奏だろう。次は、1994年のサントリーホールでの東京定期。それから1997年のNHK交響楽団との演奏(録音は初日のものしかないが、私は2日目がお気に入りだった)。1998年の東京都交響楽団との演奏(初日はダメだったが、2日目はもうすごい演奏だった。録音はこの2日目が中心)。そして、最後の大阪フィルの2001年の一連の演奏。2001年は、数回やっていて、7月のサントリーは平日だったので聴いていないが、名古屋のはもう完璧だった。ほかに大阪でも、シンフォニーホールのシリーズとフェスの定期演奏会があった。

この演奏は、ビクターのCD全集としては、1983年の方が採用されたので、今回初CD化である。LPでは、このカテドラルのセットのほかに、2枚組みで8番と9番分売された。

タワーレコードから、シングルレイヤーのSACDによるセットが発売されている。ものすごくいい音で楽しめます。

さて、この演奏、仕事で行けなかった思いがあるので、当時あんまりじっくり聴く気にはならなかったのだが、あらためて聴くと、とくに後半部分の熱っぽさは格別のものがある。

オーケストラの音色は、4番の日本フィルや7番の東京交響楽団と比べると、陰影が深く、さすがにブルックナーをひととおりやったという自信のようなものも感じる。全体的に安定感もあるが、本当に第3楽章よりあとになると、雰囲気がガラっとかわり、ものすごい音響の塊である。その中に身を浸し、究極の幸福感を味わうことができる。これが、教会だから、何かしら宗教じみてくる。たしかに、演奏直後にここについたときに、宗教の儀式のようにも見えた。

第3楽章、第4楽章の8分目くらいのところは、ハース版のフレーズがカットされていて、ノヴァーク版も要素も取り入れている。完全なノヴァーク版というわけでもない。

なお、これには、ハイレゾ音源がある。

今回のセットの4枚目の後半に序曲が入っている。

第8番の強烈なエンディングのあと、拍手がはいっていないのはいいのだが、急に序曲ヘ短調がなってしらけてしまう。どうせなら、第1楽章の前に収録したらいいのに。まあ、知っていれば、機械を止めればいいのだが、第8番の滅多打ちされて、しばらくは動けないほどだから、プログラムするしかないか。

この序曲の演奏は、新日本フィルのもので、第9番が演奏されたときのものである。きわめて丁寧な演奏で、ブルックナー音楽を楽しむことができる。

Share

ブルックナー 交響曲第7番 朝比奈隆 東京交響楽団 1980年 カテドラル

東京交響楽団との第7番。東京カテドラルでのライブ録音。

今回、タワーレコードの企画ものとして久しぶりに再発されたもの。

タワーレコードから、シングルレイヤーのSACDによるセットが発売されている。ものすごくいい音で楽しめます。

これはナマでも聴いているし、LPをもっているので、LPを購入直後も聴いているのだが、ずいぶん久しぶりに聴く。アナログ録音の最後の世代のもので、ものすごく音がよい。この教会の長い残響がきれいに入っている。

これは、聖フロリアンの表現に近い。さすがに残響が長いこともある。晩年の朝比奈さんの第7番は、60分そこそこの演奏が多いのだが、フロリアンやこれは75分ほど要している。

弦楽の表情が最初単調ではあるのだが、だんだん乗ってくる。聖フロリアンよりは、各楽器が良く聞こえる。弦の響きが大阪フィルのものよりもずっと太い。そんなにデリカシーのある表現ではないが、教会の長い響きがそれをうまくカバーしている。あの聖フロリアンの音というのは、まず奇跡と言ってよく、よくもあれだけのデリカシーのある音が当時の大阪フィルから出たものだ、とよく思う。金管のバランスが、聖フロリアンのものよりも、ずっと強い。全体的に音が濃い。

しかし、聴き終わって非常に充実感がある。

この演奏会は、ラストで残響が残っているうちに、拍手がはじまってしまい、朝比奈さんが背中で強い抗議をしていた。「何ということをしてくれるのだ」と言っているように感じたものだ。

この録音では、そこは、リハーサルの音源が使われていて、最後の拍手がない。

Share