2000年5月25日、NHKホールでの録音。最初CDで出たが、今回生誕100年でDVDで発売された。
これは、実際のコンサートには行っていないが、放送で見た。朝比奈さんとしては絶不調で、もうバラバラでどうしようもない感じだった。
しかし、その後出たCDでは、すばらしい名演に聴こえた。この演奏会に行った友人は、朝比奈さんはこわれていて、朝比奈さんぬきでオーケストラが自主的に弾いていた、とも言っていた。
さて、現在進行形だった当時と違い、過去の記録としてみた場合、どう感じるのだろうか。この演奏、その当時、NHK交響楽団のベストコンサートとされていた。4番より、一般聴衆の受けはよかったみたいだ。
第1楽章、最初はかなり足取りが重く感じるが、尻上がりに調子がよくなっていく。淡々とすすめられているが、音に十分な重さがある。NHK交響楽団のパワーがのものをいっている。
第2楽章、一転、テンポがはやめで、流れもよい。オーケストラの音も純度が高くなったような印象。
第3楽章、さらに音の純度が高くなる。オーケストラの音の厚みも十分で、ゆったりとしみじみと進んでいく。大フィルの演奏よりもひとつひとつ丁寧な音作り。ただ、コントロールが弱くなっていて、アインザッツはあまり揃っているとはいえず、重さも感じる。大きな流れは失われず、最後までつきすすんでいく。