朝比奈さんは、最初は、チャイコフスキーをはじめとしたロシア音楽、それからベートーヴェン、最晩年は、ブルックナーを主たるレパートリーとしていた。
マーラーはどうであろうか。
意外とやっている。
ただ、第1番だけは、演奏していない。曲の出来が不満だったようで、一度も演奏していない。
第4番は、晩年には演奏していない。
私が最初に聴いた、朝比奈さんの演奏会は、マーラーの交響曲第8番であった。
大阪フィル合唱団では、第2番「復活」をうたった。あれは、男性の最低音を歌える人はほとんどいない。
私は、就職後すぐに東京勤務になったとき、大阪フィルの東京演奏会は、マーラーの演奏をよくやっていた。
私が聴いたのは、5番、6番、7番である。
第9番については、留学前に演奏していたが、当時いそがしくて、聴きにいけなかった。
このとき、第5番の演奏をしているが、これは録音が残っていないようである。そうなのだろうか。朝比奈さんは、自分のコンサートは、必ず録音していて、あとで、確認していたはずだから。
かなりあとになって、サントリーホールでの東京定期演奏会で、大地の歌、を聴いた。この曲は、以前からやりたかったそうだが、歌える日本人がいない、といって、ずっとやっていなかった。
朝比奈さんのマーラー、比較的ザッハリッヒながら、人間的な温かみも感じ、スタイルとしての違和感がなく、なかなか充実した響きがある。
録音されたものでは、第3番が、非常にレベルの高い演奏である。
演奏については、また個別に書く予定にしている。