あらたに発売された朝比奈さんのヨーロッパでの公演のライブ。
最初の音からして雄大。ホールの響きがすばらしい。
演奏のスタイルは、日本でのとほとんど変わらないが、オケが違うので、音色が違う。それでもけっこう野暮ったい音で、やはり朝比奈サウンドなんだろう。ものすごく丁寧に弾いているので、マッシブな力がすごい。
ついに発見! 朝比奈隆1989年ベルリン芸術週間ライヴ
ベルリン・ドイツ響との『エロイカ』! デジタル録音
ヨーロッパ・ライヴ第1弾
「1994年、私が朝比奈隆をシカゴ交響楽団に招くことを決意したとき、当時私はオーケストラの総裁であったが、音楽監督バレンボイムを説得する要があった。彼は朝比奈がどんな指揮をするか全く知らなかったので。私が朝比奈のブルックナー交響曲第8番のレコードをかけると、バレンボイムは即座に承諾した。そして優れて観察力の鋭いコメントをした。朝比奈はフルトヴェングラーのリハーサルに立会い彼と話をしたことがあると私が言うと、バレンボイムは『実のところ、彼の指揮は私に同時期だけれど別のドイツの巨匠-クナッパーツブッシュをより強く思い起こさせる』と答えた。この言葉を私は常に覚えている。このディスクの『英雄』交響曲を聴くとき、この言葉こそまさに的を射たコメントである」
ヘンリー・フォーゲル(元シカゴ響総裁)のライナーノートより
当演奏は日本でもFMで放送されたものです。そのアプローチは同年の新日本フィルとの名盤となんら変わるところはありませんが、ベルリン・ドイツ響(当時はベルリン放送響)のソリスティックな部分の妙技や音色の味わいの濃さには抗し難い魅力があります。朝比奈と同オケとの共演は放送収録を含めて複数回に及びますが、この演奏会が最後の共演となりました。新聞批評は真っ二つに割れたと言われておりますが、鳴りっぷり豊かで構えの大きい演奏は朝比奈ファンなら納得の名演であることは言うまでもありません。スケルツォ冒頭の極端な遅さなど朝比奈が自分の解釈を名門オケで試しているかのようです。この年ベルリン芸術週間は第39回目。7月に亡くなったカラヤンを偲ぶ追悼演奏会も含まれた豪華版でした。2ヵ月後には壁崩壊という劇的な変化の真っ只中のベルリンで、まだまだ元気一杯の巨匠朝比奈が渾身の力を込めて振った『エロイカ』の登場です。朝比奈ヨーロッパ・ライヴ第1弾。英語・日本語・ドイツ語によるライナーノート付。(東武トレーディング)
【収録情報】
・ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調op.55『英雄』
第1楽章:アレグロ・コン・ブリオ [20:22]
第2楽章:葬送行進曲(アダージョ・アッサイ) [18:27]
第3楽章:スケルツォ(アレグロ・ヴィヴァーチェ)&トリオ [06:52]
第4楽章:フィナーレ(アレグロ・モルト) [13:10]
ベルリン・ドイツ交響楽団
朝比奈隆(指揮)