朝比奈隆 大阪フィル ブラームス交響曲全集1回目ビクター録音 SACDシングルレイヤー タワーレコード

朝比奈隆 大阪フィルの最初のブラームス交響曲全集がSACDで発表されます。

神戸文化ホールで、すこしだけ聴衆を入れてでの録音です。
私は、残念ながら、就職して東京勤務になったため、この録音には立ち会っていません。
この録音プロジェクトの最中に、コンサートマスターの安田さんが、交通事故で亡くなるという大フィルにとっての危機的な状況になった時期でもあります。

※世界初SACD化
※SACDシングルレイヤー *このディスクはSuper Audio CD(シングルレイヤー)です。対応プレーヤーでSuper Audio CD再生モードにしてお楽しみください。通常のCDプレーヤーでは再生できません。
※単体デジパック仕様
※600本完全限定盤。シリアル・ナンバー付(シリアル・ナンバーは、本体箱の裏側に貼付しておりますため外から見えず、お選びいただくことはできません。ランダムでのお渡しとなります。ご了承ください)
※CDセット発売時のジャケット・デザインを使用。解説書は初出LP発売時のジャケット・デザインを一部使用
※2019年最新マスタリング音源使用(マスタリング・エンジニア:杉本 一家氏)
※解説書合計28ページ
※解説書:「朝比奈隆、唯一のブラームス全集~多情多感な音楽(宇野功芳)」(3ページ)*。「曲について(宇野功芳)」(3ページ)*。「交響曲第1番 解説(小石忠男)」、「交響曲第2番 解説(宇野功芳)」、「交響曲第3番 解説(門馬直美)」、「交響曲第4番 解説(村田武雄)」。「演奏者プロフィール(藤田由之)」。LP資料集、CD資料集。*1993年5月1日発売の交響曲全集CD(VICC40162-65)より再使用しております*。*演奏について、及び楽曲解説他は1979,80年発売の初出LPのものを再使用しております。

朝比奈隆 生誕111年記念企画。Victor原盤のSACDシングルレイヤー・プロジェクト最新第4弾。朝比奈初のブラームス:交響曲全集を世界初SACD化!600本限定のシリアル・ナンバー付。《ライナーノート全28ページ》宇野功芳氏&小石忠男氏他によるLP初出時の曲目解説に加え、セットCD発売時の宇野氏「朝比奈隆、唯一のブラームス全集~多情多感な音楽」と「曲について」を掲載。初出LPジャケット資料集。収録時間180分超。シングルレイヤーならではの利点を生かした長時間収録。1枚のディスクにすべてを収録!

1979年から1980年にかけて神戸文化ホールで行われた、大阪フィルとのブラームス全交響曲の公開録音。1曲ずつLPで発売された当録音は、朝比奈隆にとって初のブラームスの交響曲全集録音となりました。既に御年70歳を超えた巨匠による風格にみちた重厚な音楽は、まさに満を持してのブラームスと思わせる演奏内容です。CD時代になり1993年に全集セットが発売されるも、以来再発売の無い希少盤となっていました。このたび杉本一家氏による最新のリマスタリングで初SACD化。シングルレイヤー盤の容量を活かし、各曲40分越えの大演奏をなんと1枚のディスクに収めました。好評を博しました2018年復刻のビクター原盤のブルックナー交響曲全集、そして全集に収録されなかった東京カテドラルの1980年と83年のライヴを収めた2種のSACDシングルレイヤー盤、そして2018年末にリリースした第3弾の1977・78年に行われたベートーヴェンの交響曲全曲とミサ曲2曲のライヴ録音を集成した3枚組のSACDシングルレイヤー盤に続く、待望の第4弾です。

この録音は全集としては4種存在する朝比奈のブラームスのなかでも、1番最初に録音された音源として価値が高い音源と言えます。しかしながらCD時代においては1988年の第1番と第2番のみ単売で復刻されたあと、1993年に1度だけ全集としてまとまって以降は一度も再発売されていませんでした。録音時の朝比奈は70歳という指揮者としては最盛期にあり、この時の収録ではセッション録音というより、むしろ聴衆を入れてのライヴに近い公開録音を選び、尚且つほぼ1回録りという方法を選択しています。録音は4/13の第2番から始まり、翌日に第3番、3日置いて第1番で進行しましたが、第4番だけは翌年の2/10&11の収録となっています。同じ会場でほぼ同じ編成ということもあり、当時のビクターの録音陣はこれら4曲を近い条件で収録できたようで、このコンビの録音の中では安定感のある、極めて高水準の録音に仕上っているのが特徴です。弦楽器の柔らかな音色は非常に魅力的で、今回のSACDではその長所が十全に活かされています。また、聴衆がいることでライヴに近い臨場感や会場の雰囲気、朝比奈と大阪フィルの高揚感をも録音が良く捉えているため、SACDの特筆である倍音の伸びやホールの間接音もこれまで以上に実感として感じることができます。
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タワーレコード (2019/03/27)

復刻に際しては最新のリマスターを施し、1枚のシングルレイヤーSACDにまとめました。豊饒かつ充実、永遠に愛される朝比奈サウンドをご堪能ください。前作と同様にシングルレイヤーならでは長時間収録という利点を生かし、総演奏時間180分超をSACDシングルレイヤー盤として1枚で、CDセット時の価格\8,000に対し、今回\5,555+税の特別価格でリリースいたします。尚、今回1枚収録を実現しました可逆圧縮方式に関しましての記述は、角田郁雄氏による文末の「このSACDについて」の記述を参照ください。
今回の復刻では、朝比奈隆の生誕111年記念としまして600セット完全限定のシリアル・ナンバー付でリリースいたします。デジパックのジャケットには唯一セットとして発売された1993年の時のオリジナルCDジャケット・デザインを採用しました。また、解説書の表紙はLP初出時の第1番と第4番のオリジナル・ジャケット・デザインを使用しています。解説書は28ページにおよび、1979-80年のLP初出時の各ジャケットと、CD単売時(1,2番のみ)のジャケットも掲載してあります(モノクロ)。それぞれLP初出時の解説に加え、CD発売時の全集BOXリリース時に掲載された宇野功芳氏による「朝比奈隆、唯一のブラームス全集~多情多感な音楽」と、「曲について」の文章も収録した、まさに完全版です。
<宇野功芳氏の解説より抜粋>
「第2」がとりわけ自由なのは、そのときの朝比奈の心境がそうであり、その心境に正直に従い、裸になって自分の心を吐露したからであろう。録音終了後、指揮者から「今度は少し自分を出させてもらいました」という手紙をもらったが、彼がこういうことを口にすること自体、稀有なことといわねばならない
<このSACDについて>
SACDシングルレイヤー盤で制作される名演奏の数々。そこには、最近、ちょっとした誤解があるように思える。それは、シングルレイヤー盤であっても、音源が圧縮されていると音質が劣化していると言われることだ。実際は、単なるデータ圧縮ではなく、CDより情報量の多いSACDのために考え出された可逆圧縮方式。ディスク・ドライブで読み取られた後、元の情報量に戻すというもので、音質劣化はまったく感じさせない。そもそも音質のコアとなる重要なポイントは、CD層が存在しないことと、本アルバムのようにエンジニアが長年培ってきたマスタリング技術が活かされていることだ。ぜひ、オリジナル音源に迫る臨場感に溢れた、この素晴らしい演奏を堪能して頂きたい。 オーディオ評論家 角田郁雄
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タワーレコード (2019/03/27)

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ブルックナー 交響曲第8番 朝比奈隆 大阪フィル ジャンジャンお蔵入りバージョン

ジャンジャンの全集では、最初後期3曲をレコーディングで行い、初期、中期は基本ライブということで企画された。2番は、公開録音となった。

それで、響きのよい神戸文化ホールでまず、7,8,9と録音された。

しかし、オーナーの高橋氏は、この8番の演奏が、いまひとつ気に入らなかったらしい。もっともっと出来ると思ったらしい。

それで、同じホールで、観客をいれて録音しなおしとなった。この録音は、観客は、席のうしろの方にいれられた。前方の席はあけられていた。

そして、その公開録音が発売となった。これが衝撃的な演奏として歓迎された。

さて、そのもとの録音はどうなったのだろうか。

ジャンジャンでは、最初8番のみ、つぎに7,8,9番の3曲、そして、最後に全集と3回にわけて発売されたので、最初の8番と次の後期のものとは別の演奏ではないか、という噂もあったが、私は全部勝ったので、同じものであるということはわかっていた。

ジャンジャンの全集は、数回出ているが、3回目に出た全集で、特典盤としてこの演奏がはじめて公になった。

これ、なかなかいい演奏である。で、再録と似たようなスタイルであるが、やはり再録した方が熱気もあるし、すばらしいと思う。

・交響曲第8番ハ短調 WAB.108(ハース版)[82:47]
 第1楽章:15:49
 第2楽章:16:38
 第3楽章:26:20
 第4楽章:24:00
 録音時期:1976年4月15、16日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(セッション)

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ブルックナー 交響曲第9番 原典版 朝比奈隆 大阪フィル 1976年 ジャンジャン

ジャンジャンのブルックナーの最初の録音のひとつ。

神戸文化ホールでのレコーディング。

1976年4月22日。

第7番の少しあとになる。

当初LPで出たときは、あんまりステレオ感を感じない録音だったが、これは、マルチマイクのマスターによるもので、かなりオンマイクの録音になった。

非常にすばらしいアナログ録音である。

10分35秒あたりで、急に雰囲気がかわるので、切り貼りしているということだろう。

23分50秒に音ゆれがある。

朝比奈さんの、ブルックナーの9番の生演奏は、数回聴いているが、完成度の点でいまひとつということが多く、レコーディングでもなかなかその感じが否めない。

本人は大好きな曲であったようだが、演奏は相当難しいようだ。

第1楽章

ゆったりとすすむ。比較的スムーズに流れるが、比較的表情が一定というか、後年のものと比べると単調な感じもある。

今、あらためて聴くと、オケの力量もふくめ、意外と出来がいいように思う。かなり自由なところもあって、けっこうおもしろい。

第2楽章

比較的淡々としているというか、後年のような、かなり重量感のあるものとは印象がちがう。

テンポの自由度はかなりある。

トリオ部分も、比較的あっさり目である。

第3楽章

丁寧にやっているが、深みとか壮絶さという点では、晩年のものとくらべてはいけないかもしれないが、少々ものたりない。後年とくらべると、おとなしいとの印象ではある。対旋律が単調なので、全体的な力感も弱い。しかし、この時点での演奏としては、相当すごいものだったと思う。最後のヴァイオリンの旋律など、かなり歌っており、中期のものと比べると表現意欲は強いと思う。

************

この第3楽章のリハーサルが付属している。

朝比奈さんの練習は、きわめて職人的で、ひとつひとつ技術的なものを克服していくという方法。

最初の音が合わない、ということをしきりに言う。それと、遅れないように、と。

遠慮しないで、歌うように、とも。

この遅れるのは、かなりの責任は朝比奈さんの棒によるものだろうけど。

金管で、どうしてもピッチが合わないところがある。

ちなみに朝比奈さんは、この第3楽章の最初は4つ振りにしている。

期待されるような、教養とか、精神論とかは、まったくない。

声が若々しいですねえ。

このリハーサルでの音、けっこう音になっていて、本番よりいいかもしれない、というところがけっこうありますね。

・交響曲第9番ニ短調 WAB.109(ハース版)[64:55]
 第1楽章:26:50
 第2楽章:11:27
 第3楽章:26:38
 録音時期:1976年4月22日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(セッション)
 新発見のオリジナル・マルチによるデジタルリミックス盤

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ブルックナー 交響曲第8番 ハース版 朝比奈隆 大阪フィル 1976年 ジャンジャン 

朝比奈さんのブルックナーとして、最初に発売された演奏です。衝撃の演奏でした。

ディスク・ジャンジャンのもので、これだけは、単独発売されました。ほかの作品は、セットでしか発売されませんでした。ただし、CDの時代になってからは、セットだけです。

2枚組4800円だったと記憶しています。

ジャンジャン盤の経緯については、別途書きましたので、こちらを参照してください。

これが、すべての始まりです。

レコード史上に燦然と輝く大傑作です。

まずエピソードを。

私の高校のときからの友人ですが、すごくブルックナーが好きでいろいろ聴いていた人なんですが、あるとき、FM大阪のリクエスト番組を聴いたのですが、最初から聴いていなかったので、演奏者がわからなかったんです。リクエスト番組だから、番組表にものっていません。

曲は、ブルックナーの交響曲第8番でした。それで途中から聴いたのですが、何てすばらしい演奏なんだろう、と思ってききほれていたんだそうです。ひょっとしたら、これは史上最高の演奏といえるのではないか。誰の演奏だろう。ドイツの名門だろうが・・・。

それで、最後のアナウンスをききました。朝比奈隆指揮大阪フィルの演奏です、との説明に彼は腰をぬかしたそうです。彼は、それまで、大阪フィルの生演奏もよく聴いているのですが、それでもわからなかった、ものすごく洗練された響きがするのです。それ以上に解釈がすばらしいのです。

これが、ジャンジャンの演奏です。

ディスクジャンジャンはメジャーレーベルではないので、レコード芸術ほか、この演奏の批評は出ていません。このレコードを扱っていたレコード屋もすくなかったのです。

私は、大阪フィルの事務局で買いました。先日、ある音楽会が、ジャンジャン跡地であったのですが、そこに、朝比奈さんの演奏によく来ていた人がいました。お互い顔はわかっているのですが、初めていっしょに飲みに行きました。彼は、ジャンジャンで買ったそうです。それ以来、ジャンジャンという場所は、朝比奈ブルックナーファンとしては聖地といっていいのです。私がそう言うと、彼もよくぞ言ってくれました、と返してきました。

この全集の演奏レベルは、けっこう下手なのもあるのですが、この8番は、けっこう洗練された響きがしています。おどろくべきハイレベルの演奏です。朝比奈さんの第8の録音はかなりたくさんありますが、これが一番いい、という人もいると思います。

この演奏は、私は録音にたちあっています。最初の録音 が、ジャンジャンの高橋氏が気に入らなかったらしく、再録音をしたのです。それで、どうも、朝比奈さんが、観客がいないと盛り上がらないということで、すこしですが、いれたのです。1976年8月23日のことでした。

朝比奈さんもオケもラフな格好で演奏していました。

テイクが始まると、一気にとってしまい、解散してしまったので、とりなおしなしの一発勝負のレコーディングになりました。朝比奈さんが満足してしまったようで、修正ができることをわすれてしまったそうです。あとで事務局の人がそういっていました。

私は、1974年に大阪フィルの定期演奏会を聴いていますが、そのときとくらべ、この演奏、とんでもなくすばらしく完成度が高いという印象を持ちました。会場にいた人、みなそう思ったと思います。

さて、この演奏、今聴きますと、当時すでに、これだけすごい演奏だったのだと改めて思います。朝比奈さんの第8番の原点ともいえますが、数ある演奏のなかで、もっとも凝縮された熱っぽさがあります。

しかし、懐かしい思いです。これを聴くと。発売当初、毎日のように聴いていました。

楽譜は、ハース版とノヴァーク版の折衷ということである。

まず、オケの技術ですが、この当時は、今と比べ落ちるとは思いますが、とくに不満はありません。この第8の場合、この全集のなかでも、音が洗練されています。金管楽器など、ピッチがあやしいということもいえますが。最晩年にいたるまで、スタイルはほとんど変わっていません。この時期で、スタイルが確立されているといえます。

第1楽章、いきなり絶好調です。とくに、オーケストラの音が、後年のものとくらべ、けっこう暗い音ですが、非常に力があり、迫力満点です。表現は、インテンポですが、後年のものとくらべ、すこし甘いところもありますが、非常に熱のこもった凄みのある演奏です。最後のところ、しずかになって、ゆっくり終わるのですが、こういうやり方、あとのにはないですね。ちょっと迫力不足にはなります。

第2楽章、かなり快適なテンポで進みます。音がぐいぐい進む点では、一番迫力のある演奏かもしれません。ただ、後年とくらべ、やや平板なところもありますが、あまり気になりません。

第3楽章、第8番の録音のなかでは、一番ストレートというか、あんまり感傷的な表情もなく、あっさりしている。後年のものとくらべて、デリカシーは不足する。ここが違うといえば違う。力感あふれ、朗々としているが、表情が比較的静か。といっても、晩年のものと比べると、という意味で。しかし、後半になると、なかなか熱いものを感じさせる。

第4楽章、すごい推進力のある演奏。ぐいぐい進む。ここも、後年のものとくらべ、音色は比較的単調です。ただぐいぐい進む力はなかなかすばらしいものがあります。

・交響曲第8番ハ短調 WAB.108(ハース版)[84:26]
 第1楽章:16:00
 第2楽章:16:50
 第3楽章:26:59
 第4楽章:24:37
 拍手:4:57
 録音時期:1976年8月23日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(公開セッション)

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ブルックナー 交響曲第7番 ハース版 朝比奈隆 大阪フィル 1976年 ジャンジャン

ジャンジャンによるレコーディング。

これは、ライブではなく、セッション録音。

LPでは、あまりステレオ感がなかったが、CDはオンマイクで横に広がる。もともとワンポイントとマルチの両方のマスターがあり、LPはワンポイント、CDはマルチを使っている。

LP時代、モノ的に聴こえ、とくにフロリアン盤があるなかで、あんまり聴く気がしなかったのだが、CDはマルチのマスターで、音がかないリッチになり、今聴くとけっこうおもしろい。

神戸文化ホールの響きのためか、比較的アラがめだたない。このシリーズのものでは、かなり上質の音である。

フロリアン盤と比べると、ずっとテンポもはやく、線も太い。しかし、テンポははやいものの、フロリアン盤とスタイルはよく似ている。この時点で、演奏スタイルが確立されている。

思いのほか、純度の高い音で収録されている。

第1楽章

なめらかにはじまる。演奏スタイルが後年のものとそう違いがない、非常にこなれた演奏。コーダも、猛烈に遅いテンポになっており、フロリアン盤と共通。

第2楽章

基本フロリアン盤に近い、もうすこしテンポがはやく、線が太い。朗々として歌がある。

第3楽章

朝比奈さんのスケルツォとしては、テンポが速い。しかし、重量感は失わない。

第4楽章

朗々と、また堂々と。1、2楽章にウェイトをおきがちだが、フィナーレとして非常に立派な演奏になっている。

・交響曲第7番ホ長調 WAB.107(ハース版)[67:44]
 第1楽章:20:50
 第2楽章:23:10
 第3楽章:09:34
 第4楽章:13:10
 録音時期:1976年4月14日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(セッション)

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ブルックナー 交響曲第2番 ハース版 朝比奈隆 大阪フィル 1976年 ジャンジャン

ジャンジャンの第2番は公開録音でした。神戸文化ホールにちょっとだけ客を入れたのです。私は、この日は残念ながら参加していないのですが、参加した友人の感想を聞くと、行かなかったことを後悔したものです。

彼いわく、ここにいた聴衆のほとんどは、この曲をはじめて聴いたに違いなのですが、最初の1楽章おわったときに、みんな感動して思わずうなったそうです。

朝比奈さんは、初期の作品では、この2番が一番演奏頻度も多いです。NHK交響楽団ともやっていました。

このジャンジャンの演奏のなかでも、もっとも出来のよい演奏だと思います。けっこう新鮮な響きがします。

1976年8月25日 神戸文化ホールでの公開録音。こちらは、一部修正しています。

第1楽章。最初から、かなり洗練された音で演奏されます。この全集の演奏で、これだけ力みが少ないのはめずらしいです。ベースにある弦楽が非常にきちりとひかれていて、その上にメロディーも非常に丁寧に歌われます。第2主題もきわめて美しいです。木管のバランスも絶妙。旋律もゴチゴチしていなくて、なかなかステキな表情が出ています。

第2楽章。ゆったりしたテンポで、やさしい表情で歌う。アナログ録音の音場が非常にきれいに出ている。とても安らぎのある、そして温かみを感じるすばらしい音楽。

第3楽章。こちらもかなり丁寧で力みがなく、どちらかというと淡々としたところさえあります。朝比奈さんとしてはめずらしいというか、きわめて上品な仕上がり。音楽がうまくのっています。

第4楽章。こちらも比較的淡々とはじまるが、後半になるにつれて、かなり音に重さと迫力が出てくる。そして雄大におわる。

この第2番、今聴いてもすばらしい演奏です。非常に完成度が高いです。

・交響曲第2番ハ短調 WAB.102(ハース版)[69:52]
 第1楽章:19:12
 第2楽章:18:30
 第3楽章:10:25
 第4楽章:21:45
 録音時期:1976年8月25日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(公開セッション)

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ジャンジャンのブルックナー交響曲全集 朝比奈さん最初のブルックナー交響曲全集

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ジャンジャン ブルックナー 交響曲全集

レコードというメディアが、日本でのクラシックマーケットに残した、おそらく最大の業績は、このディスクジャンジャンのブルックナーの交響曲全集ではないかと思います。

歴史的な意味は計り知れないです。ひとつのクラシックのブームをつくった立役者として、永遠に名前をきざむことのできる大偉業です。

これだけ、企画と演奏にすばらしく一貫性のある全集は、ほかにありません。朝比奈さんのブルックナーは、これ以降、全集としてもほかに2つ、選集もたくさんあるのですが、すべてがここから始まったのです。

当時、朝比奈さんの演奏は、非常に好評でしたが、最初の録音は学研のベートーヴェン交響曲全集、そしてメジャーレーベルはヴィクターのやはりベートーヴェンの交響曲シリーズです。当時、朝比奈さんのブルックナーはかなり評判だったのですが、レコード会社はその気になりませんでした。

ジャンジャンは、渋谷にあったスタジオですが、今はもうありません。跡地は、小さなホールと喫茶店になっています。

ここのオーナーの高橋氏が、朝比奈さんのブルックナーの演奏会に行き、大感激して、私財をはたいて、ブルックナーの交響曲全集を作ったのです。最初、LPのセットで限定500部でした。

高橋さんは、東京文化会館で朝比奈さんのブルックナーの演奏会を聴き、いたく感動したそうです。そして、上野公園から上野駅に下りる道で、その日の聴衆の反応を感じ、3往復もして、その日の数多くの聴衆もやはり同じ思いであることを知りました。そして、一大決心をしました。

最初は、大阪フィルではなく、東京のオケにしたらというアイディアもあったようですが、絶対的に大阪フィルでなければいけない、と高橋氏はゆずりませんでした。彼、信念の大偉業です。

そして、会場は、音響のいい、神戸文化ホールが選ばれました。

第7、第8、第9の3曲がまず録音されました。それ以外については、大フィルの定期演奏会、東京定期演奏会のプログラムに組まれ、実況録音されました。

最初の3曲を録音した段階で、高橋さんは、第8の演奏が気に入らなかったらしく、再録音をしました。この前の録音は、最近になって発売されましたが、とてもいい演奏ですが、最初に出た再録音の方が数段いいです。

この第8番の再録音は、すこしだけ聴衆をいれて録音しました。私は、これを聴きに行きました。神戸文化ホールで、聴衆は、一番後ろの席でした。オケは公開録音ですが、本番ではないので、私服でした。

この公開録音、すばらしい演奏でした。そして、演奏終了後、朝比奈さんは、コンマスの安田さんと握手をしていまい、解散してしまったので、これ一発勝負の録音です。一部修正はしていません。本当は、修正をする予定だったそうですが、朝比奈さんがそれをわすれてしまい、解散してしまったそうです。しかし、この演奏、修正する必要がないほどの完成度です。最終楽章の最初のテンポの乱れがあり、もし直すならそこでしょうが、これは修正しなくていいです。

そして、第2番も同じ条件で録音されました。私は残念ながら、この第2番はいっていないのですが、行った友人によると、聴衆の大部分は、この曲をはじめて聴いたのだけれど、最初の楽章だけで圧倒された、ということでした。このときは、ちゃんととりなおしをしたので、一部修正しています。

この公開録音という方法は、大成功で、このあと、ヴィクターのブラームスの交響曲全集がこのやりかたで録音されています。この録音のさなか、コンマスの安田さんがバイク事故で側溝にはまり亡くなるという大事件があり、大フィルは危機を迎えることになるのですが。

こういうふうに、最初の3曲と第2番が録音されました。それから、演奏会のライヴが録音されました。

私が録音された生演奏をきいているのは、第3番、第5番、第8番です。

個々の演奏はひとつひとつ全部書く予定ですが、この全集の特色は、ものすごい熱気がある、ということでしょうね。最後のころの大フィルとくらべて、下手だし、音も美しくないのですが、聴いていると、それ、すぐに慣れてしまい、その熱気ムンムンにやられます。

そして、

これ、すごーい

すごーい

すごーい

ということになってしまいます。

これほど、情熱に満ちた、そして生命力にあふれたブルックナー、ほかにないです。

本当にすばらしい全集です。

このLPは、最初、第8番のみ2枚組みで発売されました。そしてすぐに買いました。非常に発売枚数が少なかったのですが、私は、大フィルの合唱団のメンバーでしたから、予約できました。

そして、7,8,9の3曲がセットで発売されました。全部2枚に切っています。第9は3面ですが。それで、リハーサル風景がついています。このセットも購入しました。そして、8番ぬきという方法でも買うことができました。

最後に全集が出ました。第1番以外は2枚使うという、非常にぜいたくなカッティングでした。そして、7、8,9を買った人は、1から6だけという販売もしていました。このときに特典盤としてついていたのが、聖フロリアンのあの超絶的な第7番です。ただし、特典なので、1枚のカッティングで音のレベルはよくありません。あとのヴィクター盤が数段いいです。この全集、解説書がないです。簡単なデータと、朝比奈さんが最後の5番の録音のときに書いた文章だけです。

あとになって、第8番は再録だということで、最初に出た1枚が、もとの演奏ではないか、というウワサが出ましたが、私は全部持っているので、それは違います、と断定できました。

このプレスは、500部しかありません。高橋氏は再プレスを拒否したのです。いや1000部だったかもしれません。

これのCDは相当あとになって、かんたんな紙ボックスのもので発売されました。

それから、再生テープレコーダーを当初録音したのと同じアンペックスにして、グリーンドアから非常に立派なボックスいりのセットで出ました。これは非常に高価だったのですが、すぐにタワーとかHMVで大安売りされました。ここには、第8番の旧録音が含まれています。それにリハーサル風景がはいっていますが、あまり語りはありません。ここには、相当くわしい解説書がはいっています。ここで、いろんな事情がはじめて明らかにされました。

このなかの7,8,9については、ワンポイントとマルチと異なるマスターがあります。それで、最後のこのグリーンドアのものは、最初のLPとは、かなり印象が異なるものになっています。

このセットは、廃盤になっていますが、流通在庫や中古品はあると思います。
定価は約4万円と非常に高価ですが、流通価格は1万円台だと思いますが、変動します。
全集のみの販売です。

以下、データ
HMV HPより
各曲のコメントにジャンプします。
【収録情報】
DISC1
交響曲第1番ハ短調 WAB.101(ハース校訂リンツ版)[46:59]
 第1楽章:12:28
 第2楽章:11:39
 第3楽章:09:14
 第4楽章:13:38
 拍手:1:19
 録音時期:1977年1月24日
 録音場所:大阪フェスティバル・ホール
 録音方式:ステレオ(ライヴ)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC2
交響曲第2番ハ短調 WAB.102(ハース版)[69:52]
 第1楽章:19:12
 第2楽章:18:30
 第3楽章:10:25
 第4楽章:21:45
 録音時期:1976年8月25日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(公開セッション)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC3
交響曲第3番ニ短調 WAB.103(エーザー版)[57:38]
 チューニングと拍手:1:48
 第1楽章:19:41
 第2楽章:15:05
 第3楽章:06:57
 第4楽章:15:55
 拍手:1:57
 録音時期:1977年10月28日
 録音場所:大阪フェスティバル・ホール
 録音方式:ステレオ(ライヴ)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC4
交響曲第4番変ホ長調 WAB.104(ハース版)[63:25]
 拍手:0:41
 第1楽章:17:17
 第2楽章:14:48
 第3楽章:11:06
 第4楽章:20:14
 拍手:2:40
 録音時期:1976年7月29日
 録音場所:東京文化会館
 録音方式:ステレオ(ライヴ)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC5&6
交響曲第5番変ロ長調 WAB.105(ハース版)[78:25]
 拍手:0:38
 第1楽章:21:30
 第2楽章:17:28
 第3楽章:14:33
 第4楽章:24:54
 拍手:5:11
 録音時期:1978年1月25日
 録音場所:大阪フェスティバル・ホール
 録音方式:ステレオ(ライヴ)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC7
交響曲第6番イ長調 WAB.106(ハース版)[59:13]
 チューニングと拍手:1:53
 第1楽章:17:44
 第2楽章:17:08
 第3楽章:09:17
 第4楽章:15:04
 拍手:7:27
 録音時期:1977年9月1日
 録音場所:東京文化会館
 録音方式:ステレオ(ライヴ)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC8
交響曲第7番ホ長調 WAB.107(ハース版)[67:44]
 第1楽章:20:50
 第2楽章:23:10
 第3楽章:09:34
 第4楽章:13:10
 録音時期:1976年4月14日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(セッション)
 未発表オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC9&10
交響曲第8番ハ短調 WAB.108(ハース版)[84:26]
 第1楽章:16:00
 第2楽章:16:50
 第3楽章:26:59
 第4楽章:24:37
 拍手:4:57
 録音時期:1976年8月23日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(公開セッション)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC11
交響曲第9番ニ短調 WAB.109(ハース版)[64:55]
 第1楽章:26:50
 第2楽章:11:27
 第3楽章:26:38
 録音時期:1976年4月22日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(セッション)
 新発見のオリジナル・マルチによるデジタルリミックス盤

DISC12&13
・交響曲第8番ハ短調 WAB.108(ハース版)[82:47]
 第1楽章:15:49
 第2楽章:16:38
 第3楽章:26:20
 第4楽章:24:00
 録音時期:1976年4月15、16日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(セッション)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC14
・交響曲第2番ハ短調 WAB.102(ハース版)~リハーサル
 第1楽章:23:54
 第2楽章:05:56
 第3楽章:06:06
 第4楽章:14:18
 録音時期:1976年8月25日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(公開セッション)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC15
・交響曲第4番変ホ長調 WAB.104(ハース版)~リハーサル
 拍手:0:41
 第1楽章:12:40
 第2楽章:16:05
 第3楽章:7:37
 第4楽章:23:02
 拍手:2:40
 録音時期:1976年7月29日
 録音場所:東京文化会館
 録音方式:ステレオ(ライヴ)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC16
・交響曲第8番ハ短調 WAB.108(ハース版)~リハーサル
 第1楽章:08:19
 第2楽章:07:14
 第3楽章:21:47
 第4楽章:07:57
 録音時期:1976年8月23日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(公開セッション)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC17
・交響曲第9番ニ短調 WAB.109(ハース版)~リハーサル
 第3楽章:54:59
 録音時期:1976年4月22日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(セッション)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

 大阪フィルハーモニー交響楽団
 朝比奈隆(指揮)

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