ブルックナーの演奏には、残響があったらどれだけいいだろう。
という発想で企画された演奏会のシリーズです。
このシリーズは、1980年と1983年に行われました。
最初の企画は、異なるオケによるものでした。
第4番 日本フィル 5月12日
第9番 新日本フィル 6月4日
第5番 東京都交響楽団 9月3日
第7番 東京交響楽団 9月13日
第8番 大阪フィル 10月24日
この企画は、梶本音楽事務所によるもので、当時私の友人が梶本にいたので、チケットを入手したのですが、最初のころ、売れなくて大変だったそうです。
それでも、演奏会そのものは、満員でした。
私は通しで買っていましたが、残念ながら、最後の第8番は、仕事でかけつけたときは、あの神がかり的なオヴェイションの最中でした。
この演奏は、最初、LPでカテドラルシリーズのセットで発売されました。
しかし、CDでは、バラバラになっています。このシリーズの発想は、どうしてもその音響にあるので、まとめてセットにした方が、一貫性があります。
今このシリーズは、
第5番、第9番がヴィクターの全集に入っています。
第4番、第7番、第8番は、タワーレコードからセットで発売されています。
タワーレコードから、シングルレイヤーのSACDによるセットが発売されている。ものすごくいい音で楽しめます。
第5番、第9番が、XRCDで出ています。
これについても、個々の演奏については、ひとつずつ書く予定にしています。
最初、第4番を聴いたとき、あの長い残響の快適さは忘れません。
とくにロマンティックの第3楽章のあのホルンの響きが天上からふってくるのです。
このカテドラル教会の響きはものすごく長く、確かに全奏部分では、何がなんだかわからなくなります。しかし、このひびきにつつまれる体験は貴重でした。
ギュンター・ヴァントの録音でもリューベックの第8と第9があり、あれもものすごい残響で、本人が気に入らなくて再録音していますが、私は、あの旧録が好きです。
このシリーズ、今聴いても圧倒されます。非常に表現意欲はつよく、面白い演奏が多いです。各曲オケが全部別ですが、朝比奈トーンになっているのがまた興味深いところです。