ブルックナー 交響曲第8番ハ短調
朝比奈隆指揮 名古屋大学交響楽団
1976年1月20日 名古屋市民会館大ホール 実況録音
自主制作LPよりMP3変換 ステレオ録音
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朝比奈さんが、名古屋大学交響楽団に客演したときの演奏です。1976年1月20日です。
朝比奈さんと名古屋大学の学生の会心の演奏です。
この時期に、朝比奈さんのブルックナーをやりたいといった名古屋大学の先見の明はすごいですね。まだ、朝比奈~ブルックナーとして、そんなに知られていない時期です。
もともと朝比奈さんはアマチュア出身でありながら、アマのオケを振る機会はほとんでありませんでした。母校の京都大学交響楽団も晩年は1回だけです。(このときのプロはマイスタージンガー前奏曲、ブルッフのヴァイオリン協奏曲(ソロは徳永二男)、ベートーヴェンの第7番)
この演奏会は、プライヴェートのLPになっていますが、入手は非常に難しいです。昔知人に聴かせてもらったことがありますが、今は便利な世の中ですね。ネットでダウンロードできます。
Anton Bruckner Symphony Versions Discography
というサイトです。
無料サイトですが、1回2ドルのドネーションをしてほしい、となっています。
LPからMP3に変換されています。かなりスクラッチノイズはありますが、なかなか良好な音質です。それとLP特有のゴーストがあります。
この演奏会は、実は朝比奈さんにとっては、非常に大事なものなのです。それは、ハース版をはじめて使った演奏なのです。それまで、朝比奈さんはノヴァーク版だったのです。名古屋大学の学生が熱心にハース版をやりたいと主張したこともあって、そうなったようです。
さて、演奏ですが、びっくりです。
オケが上手いです。
金管のピッチもいいし、木管の表情も泣かせるものがあります。
そして、ちょっと信じられないスゴイ演奏です。
まず、朝比奈スタイルがそのまま出ています。
音色なんか、大阪フィルによく似ています。
ライブですから、燃えに燃えています。
はっきりいって、ジャンジャン盤よりスケールが大きく、表現の自由さ、音色も多彩、ライブならでの熱気、すべての面で凌駕しているといって過言ではありません。
いまにして、ジャンジャン盤で物足りないと感じるところがすべて解決されています。
この時期の一番すぐれた演奏かもしれません。
第1楽章
非常にしっかりした足取りではじまります。いきなりエネルギー全開です。
非常に丁寧です。表現のスケールも大きいです。木管の音色なんかすばらしいです。
けっこうテンポは揺れますが、ベースがしっかりしています。もうワクワクしてしまいます。
第2楽章
勢いよく始まります。旋律の停滞感もありません。ぐいぐい引っ張っていきます。だんだんもりあがり、そのエネルギーがすばらしい。トリオもなかなか熱っぽいです。
第3楽章
おごそかにはじまる。最初のヴァイオリンからして雄弁。5分ちょっとから出てくるチェロの旋律も非常にこころがこもっており、ジャンジャン盤ではきかれないもの。なかなか泣かせるものがあります。最強音でもうるさくならず心がこもっています。
第4楽章
最初から豪快です。ぐいぐい進みます。静かになると、木管の調べは味があります。その後の展開もなかなか大胆だし、表現の幅が広いです。
スタイルはジャンジャン盤とそっくりですが、より大胆です。