ジャンジャンの全集です。
朝比奈さんは、この第3番は比較的苦手にしていたようです。苦手といっても、残した演奏はどれもすばらしいです。
それとは関係ないかもしれませんが、ハース版一辺倒の朝比奈さんとしてはめずらしく使う楽譜もさまざまです。もっとも、第3番にハース版はないのですが。
この最初のジャンジャン盤は、エーザー版をつかっています。その後のビクター盤は、ノヴァークの第2稿、最後のキャニオン盤は、改訂版です。最後のものは、最初CDが発売されたときは、ノヴァーク第3稿と発表されていましたが、再販で訂正されています。ワーグナーの旋律のある第1稿は、演奏されていません。なくなった年に予定されていたのが、この最初のものになるといううわさがありました。しかし、そのスコアは、長男が棺に入れて燃やしてしまったのです。ここらへんの事情はよくわかりませんが。
これは、大阪フィルハーモニーの定期演奏会で演奏されたものです。1977年10月28日の大阪フェスティヴァルホールでのライブ録音です。
この前にイングリット・へブラーがモーツァルトのピアノ協奏曲を演奏しました。何番かわすれました。
この演奏会、私は聴きに行きました。席は、1階の左の方で、へブラーの背中が見えました。
それで非常に残念なのですが、まったくもっておもしろさがわからず、がっかりしたのです。しかし、まわりは拍手大喝采でして、そのギャップの差にショックを覚えました。
私は、この曲をちょっと苦手にしていまして、それで、なじめなかったのです。
しかし、今、これ聴くと、いい演奏なんですね。
第1楽章、かなりリズムにのって快調にはじまります。金管の全奏も立派。けっこう流れがいいです。その後も堂々とすすみます。
第2楽章、やさしい音楽ではじまります。だんたん高揚してきます。さすがに、後期のものとくらべると少し一本調子ですが、これがこのころの特徴でしょう。けっこう音楽がきれいに流れる。後半弦楽の感情のこめ方はなかなか見事。
第3楽章、朝比奈流スケルツォの極意。テンポは意外に速め。しかし重量感は朝比奈節。中間部もなかなかいいテンポですすんでいく。主部に戻ると、少しテンポの乱れがあるが、その後は、なかなか重量感があり、迫力満点。
第4楽章、ブルックナーのなかでも、どうももっともなじめない音楽といっていい楽章です。ポルカの美しさは好きですが、その直後の音がバラバラに聞こえるのです。とくに、このポルカは、むかしFMの音楽番組のテーマに使われていたので、親しみやすいのです。しかし・・・。あとは、どうも音楽がバラバラのような印象をもってしまいます。しかし、それでも、パワー全開で、最後まで進みます。
今聴いてもなかなかいい演奏です。しかし、第3番はキャニオン盤がダントツです。
・交響曲第3番ニ短調 WAB.103(エーザー版)[57:38]
チューニングと拍手:1:48
第1楽章:19:41
第2楽章:15:05
第3楽章:06:57
第4楽章:15:55
拍手:1:57
録音時期:1977年10月28日
録音場所:大阪フェスティバル・ホール
録音方式:ステレオ(ライヴ)