ビクターから発売されたブルックナーの交響曲全集にフィルアップされているもの。最初は、LPで発売された。
ビクターの全集は、ジャンジャンのあとの時代の寄せ集めではあるが、この時期の演奏は、なかなか充実しているからおもしろいものがそろっている。
最初セットで出て、それから、追悼盤ということで再発された。今は、復刻されており、単独で入手可能。
さて、第0番。
朝比奈さんは、この曲は4回しかとりあげていない。そのうち3回は公式録音されている。1回は朝比奈会がCDにしている。私は、朝比奈会は、最初は入っていたのだが、熱心な会員ではなく、その後会費をおさめていなかったので、除名されてしまった。だから、この2回目の演奏はもっていない。それから、札幌で演奏した。その後は、完成度が低いということでレパートリーからはずしてしまった。
この第0番は、大阪フィルの定期演奏会でのライブ。1曲目は、シューベルトのミサ曲第5番で、このステージは、私は合唱団の一員として歌い、休憩後ただちに2階席に行き、この歴史的な日本初演に立ち会ったのである。
このシューベルトの演奏は、大阪フィル合唱団がLPにしており、私も所有しているので、いずれコメントしたい。
かなりオンマイクの録音であるが雰囲気もよく出て、すばらしい音がきける。(シューベルトのミサのLPはあんまり音がよくない、当時商業用とそうでないものは録音の質がずいぶん違った。)
第1楽章、ちょっとゴツゴツしたところがあるものの、なかなか清涼な音色で、推進力もある。音楽の愉悦感を十分に感じることができる。ブルックナーの初期の作品であるが、まさにブルックナーの音がしている。ちょっと弦で音程があぶないところもある。
第2楽章、比較的淡々としているが、ヴァイオリンの歌がはじまると実にしみじみと味わい深い。
第3楽章、豪快でど迫力のあるスケルツォ楽章。この楽章は、やはり美しいトリオがききもの。シンプルながら美しさを楽しむことができる。
第4楽章、推進力があり、なかなか力強い表現。ただ、曲の出来というか、対位する旋律が単調なのが気になる。構造的には、やはり弱いのかもしれない。演奏は、豪快です。