これは、東京カテドラルの2回目の演奏で、XRCDで再発されているものと同じ演奏です。いまは単独で入手できます。
東京カテドラルにおける1983年のシリーズでの演奏会。
このときは、わずか4日で3演奏会、それも7,8の交響曲とミサ曲第3番を演奏しています。それも東京定期演奏会として行われたものです。
当時はタフだったですねえ。
私は幸い、全部の演奏会に行きました。
東京カテドラルは、相当残響が長いのですが、この録音は、たいへん上手で、音がかぶりません。残響がきれいにはいっています。その分、オケの音もきれいに聴こえます。
朝比奈さんとしては、ブルックナーはこの第7が一番演奏回数が多いのです。だから、こなれた演奏が多いです。これも非常にすばらしい演奏です。第7といえば、あの聖フロリアン盤ですが、あれば神のなせる業で、何から何まで特別です。あれは、すべてが別格。
朝比奈さんは、ここの場所を気に入っていたようなのですが、これ以降実現しませんでした。宇野さんが反対したからでしょうか。
録音は非常にすばらしいです。XRCDになったものは、すごい情報量です。
第1楽章
最初からテンポがはやいです。すっきりした表現です。きれいです。大阪フィルの音とは思えません。音楽がなかなかきれいに流れます。あの聖フロリアン盤はものすごくゆっくりですが、あれは特別で、朝比奈さんの7番はだいたいこのテンポです。中間部はなかなかねばりのある表現です。全体的に表現がこなれていて、よどみがないです。第1楽章コーダは、例によって超スローテンポです。
第2楽章
静かなのと、音が比較的弱いのがめずらしい。そのうち乗ってくるが、かなり旋律の動きも固いところがあるが、ホールがうまくはたらいて、きれいに聴こえます。比較的表情がおとなしい。
第3楽章
重量感と表情豊かさをもった、なかなかすばらしい演奏です。残響もうまく利用しています。
第4楽章
かなり自由な表現でぐいぐい進む。オケがけっこう疲れてきたのか精度がさがってきているが、ホールトーンがうまくそれを隠す。一気にフィナーレにすすむ。