このブログは、朝比奈さんの演奏について書いているのですが、
朝比奈さんの後任の大阪フィルの音楽監督になった、大植英次氏についてすこしお話します。
朝比奈さんが亡くなって、さて、その後任は誰になるのか、というのは、当時すごく話題になっていたわけですが、大植さんを探してきたというのは、なかなか画期的なことでした。
日本国内では、朝比奈さんの人気がありすぎて、あとをつとまる人なかなかいませんでしたから。
しかし、この大植さんなのですが、日本デビューは散々でした。
私もその演奏会を聴いたひとりですが、あまりにも印象が悪く、総スカン状態でした。その原因は、大植さん本人の責任とはいえないので、非常に気の毒ではありますが。
レナード・バーンスタインの最後の来日のときです。バーンスタインは、いつ死んでもおかしくないような状態で、プログラムが何度もいれかわりました。ブルックナーの第9も予定されていました。
しかし、本人が指揮できる体調ではなく、結局あるコンサートは。
ブリトゥン ピーターグライムス 4つの海の間奏曲
バーンスタイン ウェストサイドストーリー組曲
ベートーヴェン 交響曲第7番
という形になりました。
このプロで何を期待しますか?
それは当たりまえです。
バーンスタインの自作自演です。それもウェストサイドですよ。
1曲目も相当具合がわるかったのですが、さあて、いよいよはじまると思ったら、まったくのアナウンスなしに、チビッコのわけのわからん指揮者がでてきたわけですよ。なんじゃこれ、というわけです。
これが大植氏。
聴衆は怒りました。
主催者につめよりました。
その模様は翌日の新聞にのりました。
私はおとなしく帰ったのですが、騒いだ人間のかなりの部分は私の友人でした。
このとき、大植氏が指揮をするのは、バーンスタイン氏があらかじめ決めていたそうです。
しかし、主催者は、大植氏ではなくて、佐渡裕氏を推したそうなのです。それが、最後まで主張していたのが、バーンスタイン氏は認めなかったそうなのです。そんなこともあって、事前アナウンスがないまま、はじまってしまったわけです。
このときの演奏、史上最低の演奏です。聴衆の期待値が大きすぎる上、すべてを裏切る演奏ですからね。ちょっとくらいきれいな演奏してもダメなのです。歴史にのこる、もっとも印象の悪い演奏ですね。間違いなく。
このときに、いっしょに行った友人は、大植氏を一切認めません。その後の演奏もです。CDになっている演奏も、すくなくとも大フィルのものはよくないです。
私は、大阪フィルで、マーラーの2と3を聴きましたが、非常に不満でした。朝比奈さんの亡霊があるのか、力みすぎで、いい音が出ていません。オケもあんまり楽しそうにしていませんでした。たしかに音の純度は高くなりました。しかし、音量が足りないし、音楽におもしろみを感じません。
しかし、彼は、実はかなりの実力のある指揮者で、ハノーバーのオケのベートーヴェンの5,6.ワーグナーのワルキューレ第1幕は、力みもなく、いい音を出していました。あの演奏なら、バイロイトに呼ばれたのもわかります。ただ、バイロイトは1回でクビになってしまいました。
CDだって、ミネソタのものはいいですよ。だけど、大フィルのものは、なじめません。
大フィルで、その能力を出し切っていないとしか思えません。
バーンスタイン事件の呪い、これはおそろしいです。そして、朝比奈さんの亡霊もそうなんではないでしょうか。
朝比奈をかなり意識したプログラムのCD
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これは名演奏だと思う。
Copland コープランド / 庶民のためのファンファーレ、『アパラチアの春』組曲、交響曲第3番 … |
Mahler マーラー / 大地の歌 大植英次&ミネソタ管弦楽団 輸入盤 【CD】 |