チャイコフスキー 交響曲第5番 朝比奈隆 大阪フィル 1982年 キング リマスター

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朝比奈  チャイコフスキー 5

朝比奈さんの生誕100周年記念の再発で、キングのもの。ハイパーマスタリングによる。これ初CD化とか。今日、山野楽器銀座店で購入。

朝比奈さんにとって、プロデビューの曲であり、また生涯最後に指揮した曲である。これは、1982年7月10日、尼崎アルカイックホールの杮落とし公演である。実は、この日、私は大阪にいた。ちょうど、当時大フィル事務局に勤めていたS君を訪ねたのである。そうしたら、あす、尼崎でコンサートがあるという。しかし、残念ながらチケットは売り切れ。しかし、ゲネプロをきかせてくれるという。というわけで、一部きくことができた。すばらしい音響のホールだった。ホールに入るときに、ホールの職員が知らされていなかったので、入るのに苦労したが、すぐS君が迎えにきてくれた。そのときの公演がこのCD。

これは、最初ファイアバードというレーベルで、分厚いLPとして発売された。ものすごく立派な低音が入っている。このリマスタリングも相当リアルな音になっている。

このころの大フィルの音は、1990年代後半以降と比べると、かなり野暮ったい。ブルックナーの録音なんかは、そうも感じないが、このチャイコは、まさに昔の野暮ったい大フィルの音。そして、朝比奈さんの表現は、非常に大胆。朝比奈さんはこういう表現をしていたんだねえ。なつかしい思い。

音は、ガサガサしていて、あんまり美しいとはいえない。アンサンブルもお世辞にも整っているとは言いがたい。楽器の音色もにごっている。そのにごった音で、大きく一生懸命吹くわけだから、きたない音だと感じる。まったく洗練なんてもんが感じられない。しかし、ものすごく音楽を楽しんでいることはよくわかり、実におもしろい演奏である。

しかし、1970年代でも、ブルックナーなら、なんであんなにいい音になるんだろう。ブルックナーという作曲家との出会いは、本当に幸せなものだったとしかいいようがない。

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