朝比奈隆 最初のブルックナー全集です。
これは、1977年1月24日の大阪フェスティヴァルホールでの実況録音。
私は、この第1番は、朝比奈さんの生演奏はついに聴く機会はなかった。この演奏会も知ってはいましたが、聴いていないのです。
さて、この第1番ですが、思い出話をひとつ。
これを買ってまもないときに、下宿でクナッパーツブッシュ大ファンという友人にブルックナーの交響曲第1番をきかせたのです。最初にノイマン指揮のゲヴァンとハウスの演奏を。そうしたら、彼はこれブルックナーの曲かあ?と言うのです。次にこの朝比奈さんの演奏をかけました。そうしたら、彼は、これ、ブルックナーや!と大声で叫びました。この朝比奈さんの演奏、最初から、ブルックナーの音がしていました。それがどういうものか、感覚的にかわからないのですが、まさにブルックナーの音。
きわめて優秀なアナログ録音です。ホールの響きがきれいに出ています。
第1楽章、比較的淡々と始まるが、しっかりブルックナーの音になっています。ぐいぐいと進んでいきます。ただ、オケとしては、洗練度がちょっと低いのが気になります。とくに金管。比較的思い切ってテンポをゆらして、自由な表現をしています。
第2楽章、無骨というか、素朴な表現。最初は、音のまとまりがない感じもする。だんだん熱気がでてきて、音のかたまりとなる。ただ、アンサンブルはいまひとつ。弦も歌がすくない。
第3楽章、朝比奈さんらしい、重さと迫力をもつ。ぐいぐいすすむ。ただ、旋律線が短く表情があまりない。トリオも、比較的淡々としている。
第4楽章,この楽章も淡々とすすむ。木管はデリカシーを感じるが、全体的に比較的一本調子というか、比較的あっさりしている。ただ、流れはきれいにでていて、最後まで一気に進む。
・交響曲第1番ハ短調 WAB.101(ハース校訂リンツ版)[46:59]
第1楽章:12:28
第2楽章:11:39
第3楽章:09:14
第4楽章:13:38
拍手:1:19
録音時期:1977年1月24日
録音場所:大阪フェスティバル・ホール
録音方式:ステレオ(ライヴ)
オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング