朝比奈さんの最晩年のコンサート
東京はチケットがとれないほどの人気、熱演、一般参賀
でしたが、
大阪では、当日券が買え、演奏はさほど熱演ではなく、一般参賀もなし、
というのが特徴でした。
といってもですね、
東京では、東京文化会館かサントリーホールですが、
大阪では、あの巨大なフェスティヴァルホールなんです。というか。
東京は、東京だけではなくて、首都圏でもなくて、全国区なんです。そのひとたちが、サントリーの少ない席をとりあう。
大阪は、東京から行くひとは、当初はあんまりいなくて、あの巨大なホールに、関西圏の人間が聴きにいくわけです。
そもそも分母が違うんです。人口が全然違う。
それに、大阪では、朝比奈のオッサンは、聴けて当たり前でありがたみがない。
それで、晩年、東京に行くようになって、大阪をほったらかして東京ばっかし行ってけしからん、という人もいました。
東京の場合、聴衆がおそろしく若いんです。高校生もたくさんいる。これ、ものすごいことなんです。音楽マーケットの将来は明るい、と感じるわけです。
大阪の場合、むかしからのなじみが多いです。さすがに地盤だけあって。
朝比奈さんは、もともと大阪の人じゃないんですよ。しかし、関西に骨をうずめる決心をしてがんばってきた。
東京はもともと演奏会も少なかったんですよ。だからチケット取り合いになった。
まあ、それだけのことなんですよ。
大阪は、比較的ずっと冷静に見ていましたが、それはそれでいいんですよ。
演奏家としては、自分を認めてくれるところを見逃すわけにはいかないんです。
仕事ですから。