ブルックナー 交響曲第9番 朝比奈隆 NHK交響楽団 2000年

ブルックナー 交響曲第9番 CD

ブルックナー 交響曲第9番 DVD

2000年5月25日、NHKホールでの録音。最初CDで出たが、今回生誕100年でDVDで発売された。

これは、実際のコンサートには行っていないが、放送で見た。朝比奈さんとしては絶不調で、もうバラバラでどうしようもない感じだった。

しかし、その後出たCDでは、すばらしい名演に聴こえた。この演奏会に行った友人は、朝比奈さんはこわれていて、朝比奈さんぬきでオーケストラが自主的に弾いていた、とも言っていた。

さて、現在進行形だった当時と違い、過去の記録としてみた場合、どう感じるのだろうか。この演奏、その当時、NHK交響楽団のベストコンサートとされていた。4番より、一般聴衆の受けはよかったみたいだ。

第1楽章、最初はかなり足取りが重く感じるが、尻上がりに調子がよくなっていく。淡々とすすめられているが、音に十分な重さがある。NHK交響楽団のパワーがのものをいっている。

第2楽章、一転、テンポがはやめで、流れもよい。オーケストラの音も純度が高くなったような印象。

第3楽章、さらに音の純度が高くなる。オーケストラの音の厚みも十分で、ゆったりとしみじみと進んでいく。大フィルの演奏よりもひとつひとつ丁寧な音作り。ただ、コントロールが弱くなっていて、アインザッツはあまり揃っているとはいえず、重さも感じる。大きな流れは失われず、最後までつきすすんでいく。

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ブルックナー 交響曲第4番 朝比奈隆 NHK交響楽団 

ブルックナー 交響曲第4番 CD

ブルックナー 交響曲第4番 DVD

朝比奈さんのDVDからブルックナーの4番。これはハイビジョン収録で画面もすばらしい。朝比奈さんがなくなる1年ほど前の演奏だが、このときは、まだ元気だった。2001年にはいって極端に弱ってくる。

この演奏会は、私が大阪にいたときのものだから、行っていないのだが、当日実は中学の同窓会が10年ぶりであったので、東京に行かなかったのである。休日だったから東京に行こうとおもえば行けたのである。

この演奏会、あまりにもすばらしく、終演後、聴きに行っていたS氏が(彼とはブルックナー協会発足のときからの友人)興奮して電話をしてきたくらいだ。

この4番は、朝比奈さんの会心の演奏である。N響の8番もいいが8番はほかに大フィルでもとてもいいものがあり、N響がベストワンということでもない。しかし、4番の場合、ここにいたって本当に理想的な演奏が出来たのである。当初テレビで見て、またそのあとでCDが出て聴いたが、4番の演奏として、朝比奈さんの最高の演奏といって間違いない。

これのほかに、最後の大フィルのもの、CDにはなっていないが、北ドイツの来日公演、カテドラルの日本フィルのものといったいいものもあるが、桁違いにすばらしいのが、このNHK交響楽団との演奏。

もうすべてがすばらしい。オーケストラもうまいし、理想的なロマンティックである。

CDを聴いたときは、非常にびっくりしたものだ。これ、完成度の高い演奏であるが、比較的演奏者も聴衆も冷静にように見受けられた。一般参賀が写っていないので、このころは、もう体力的にしんどかったのだろうか。

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ブルックナー 交響曲第8番 朝比奈隆 NHK交響楽団 1997年

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ブルックナー 交響曲第8番 朝比奈 NHK交響楽団 DVD

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ブルックナー 交響曲第8番 朝比奈 NHK交響楽団 CD

1997年3月6日、NHKホールにて収録

朝比奈さんの生誕100年記念で、NHK交響楽団の演奏がDVDでまとめて発売された。発表されたときに、すぐ通販の予約をいれていたが、今日の午後に夕刻に到着した。

ここに収められている演奏で、唯一実演に接しているのが、このブルックナーの8番。2回あって、両方いったが、私としては2日目の演奏の方が気に入っていた。この初日のものも、実演のほか、テレビでもみているし、CDにのもなっている。初日の放送のエアチェックのビデオもどこかにあるはずだが、まずこの演奏をきいてみた。

朝比奈さんは、この作品を何回も演奏しているが、このNHK交響楽団のものが、一番オーケストラとしての性能がいい。その分、やりたい放題できるともいえる。そして、この日のN響、実にすばらしいのである。N響は、どうも、指揮者によって、ばらつきがありすぎる。朝比奈さんの場合だって、1970年代なんか、オケの連中が馬鹿にしているんじゃないか、ともみえたことがあった。しかし、最晩年の演奏は、どれもこれもすばらしい。

最初の一音をきいてすぐに、こんなにすごい演奏だったか、とあらためて思う。最初から、何もかにも特別なのである。いきなり絶好調。こういうのは、大フィルではなかなかない。なんというスケールの大きさ、なんという格調の高さ、なんという情熱、なんという美しさ。もう演奏にひきこまれてしまう。そして、ひたすら幸せの中に浸ることができる。もう涙が止まらない。

朝比奈さんの棒は、うまくないといわれているが、ブルックナーのときは、妙に自信があるのだろうか、なかなか雄弁だし、わかりやすい。このころの朝比奈さんは、最晩年の衰えも見せず、なかなか元気だ。

これだけの演奏、2001年までは、われわれは、生で聴く事ができていたのである。最近、これだけの演奏を、聴くことがなくなってしまった。

私は、セットで買ったが、ここに小冊子がついていて、N響のメンバーの裏話がのっている。これも興味深い。

演奏歴がのっているが、なぜか、1970年代にやったブルックナーの2番のことがのっていない。そのときは、2と9をやったのだが、2をあえて選んだことについて、けっこう朝比奈さんは語っていたのになあ、と思う。著者の岩野さんが、最晩年の朝比奈さんしか知らないからなのだろうか。

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ブルックナー 交響曲第5番 朝比奈隆 新日本フィル 1992年 DSDリマスター

朝比奈 ブルックナー 交響曲第5番

朝比奈さんの生誕100周年記念シリーズの1つ。新日本フィルのFONTEC盤。DSDリマスタリングというのがウリ。これは、昨日立川の山野楽器で購入。このリマスタリングがいい結果をもたらしているというので、さっそくきいてみる。このシリーズは、全体的に録音の評判がよくないが、そのの中で一番録音が悪いとされていた、ブルックナーの5番からききはじめる。

1992年9月2日、サントリーホールでのライブ。この演奏会は、実際にきいている。新日本フィルが朝比奈ブルックナーのシリーズを行い、5,7,8を取り上げた。これ以外に4番は定期演奏会で取り上げている。私は、このうち、シリーズの3曲をきいている。あとは、だいぶあとに行われた3番。新日本フィルのブルックナーは、大阪フィルのものとくらべると、音程はしっかりしているし、正確に弾かれているが、大阪フィルとの演奏のような、親密さからくる独特の雰囲気はあんまりない。オケの音が澄んでいて明るい。

ライナーノーツが金子さんとの対談になっていて、譜例もたくさんあり、むちゃくちゃおもしろい。以前読んだことのある文章なのだが、読み入ってしまう。

さて、CDの音だが、たしかに以前のものよりはっきりくっきりしているし、第一音が悪いなんてとても思えないいい音である。DSDマスタリングの成果なのだろうか。CD製作の技術の進歩もすばらしく、デジタルメディアにしては25年も持つなんておどろくほど長生きである。このCD,もともと演奏はすごいが録音は駄目というものだったが、これで録音がよくなってしまったのだから、もう決定的な名盤の誕生といっていい。技術の進歩がもたらした名演の誕生である。

ゆったりしたテンポで、非常に幅の広いというか、スケールの大きな演奏で、最晩年のものとは違う力強さを感じさせる演奏。非常に風格がある。一気にきかせてしまう大きな流れがある。

全体的に、弦楽器が非常に力をいれたボーイングをとり、かなり音を長く保つ奏法をしている。それが、いつもより顕著な気がする。

ものすごい重量感があり、それがとくにフィナーレになってすごさが増す。金管楽器のパワーもすごいものがある。あとになるほど凄みが出る。倍管になったあとのコーダのすさまじさは、鳥肌がたち、涙がボロボロこぼれる壮絶なる音の饗宴である。

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ブルックナー 交響曲第7番 朝比奈隆 新日本フィル 1992年 DSDリマスター

朝比奈 ブルックナー 交響曲第7番

朝比奈~新日本フィルのブルックナーのDSDリマスターの2枚目。第7番。これは実際に聴いている演奏。新日本フィルのチクルスで、5,7,8の三曲が取り上げられたもの。
1992年9月8日、サントリーホールでのライブ。この演奏は、実際にきいている。

やはり、大フィルとは、音色がだいぶ違い、透明度が高いのと、ちょっと粘りがあるような印象がある。

音が思った以上に太く、雄大な音楽が奏でられる。第1楽章もゆったりと太く、表現意欲が非常に強い。楽器のバランスも大フィルのとは、ちょっと違う感じがする。

第2楽章も、とても雄大。弦楽の分厚さが目立つ。録音の影響もあるだろうが、ものすごいエネルギー感。微妙ではあるが、けっこうテンポが動く。高揚感がすごい。

第3楽章は、やはり朝比奈調重量級スケルツォだが、中間部なんか良く流れるし、かなり盛り上がる。表現意欲満々。

第4楽章。比較的軽くなりやすいこの楽章も非常に立派な表現。音がなりきっている。オケも非常に乗っている。

この新日本フィルの第7番は、朝比奈さんのほかの7番と比べると、かなり線が太くて、雄大さがあり、表現意欲があるということでは、最右翼だと思う。

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ブルックナー 交響曲第4番 朝比奈隆 新日本フィル 1992年 DSDリマスター

朝比奈 ブルックナー 交響曲第4番

新日本フィルでは、ブルックナーのチクルスをやったのだが、それは5,7,8の3曲。それ以外に、同時期に定期演奏会で取り上げたのが、この4番で、同時期のものとして、セットで発売されたのである。演奏の計画としては、4曲セットで行われたが、この4番だけ定期演奏会になったようである。

1992年5月13,15日(ライヴ)東京文化会館、オーチャードホールの2つの会場での録音。これは実際には聴いていない。

今回のシリーズの中では、会場が違うこともあるだろうが、かなり響きが違う。かなり残響が多いが、ホールトーンを重視するというより、フォルテッシモのときに音が少々にごる。

演奏のスタイルとしては、かなり重厚なつくりで、またマッシブな力がある。非常に迫力に富んだ演奏である。オケのトーンは、やはり大フィルよりは透明感があり、きちんと弾いているのはいつもと同じ。ほかの新日本フィルとの演奏と比べても相当パワフルな演奏の1つと思う。

第1楽章からして、相当パワーが入った演奏。後年のものとは違って、相当力強い。一気に進んでしまう。

第2楽章は、最初のチェロのテーマも十分厚い響きをもっており、これも後年のものと比べると、ずいぶん強い演奏。木管も、へんな表情というのがなくて、ストレートな表現。

第3楽章は、朝比奈さんのスケルツォ表現がいつもそうであるように、比較的ゆっくり目で、重量感があるもの。今回は、主部の最後のところで、かなりテンポがはやくなる等、相当いじっている。

第4楽章も最初からマッシブな響きがすばらしい。勢いもある。数ある朝比奈さんのロマンティックの中では、もっとも力強い表現だろう。録音はちょっと飽和気味である。ここでも、けっこうテンポは揺らしており、必ずしもインテンポではない。

しばらくぶりに聴いたのだが、こんなにすごい演奏だったかと、あらためて思う。

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ブルックナー 交響曲第8番 朝比奈隆 新日本フィル 1993年 DSDリマスター

朝比奈 ブルックナー 交響曲第8番

新日本フィルとのブルックナーチクルスの実況録音で、これがこのチクルスでは最後の演奏会だった。サントリーホールで5,7,8とやったのだが、5,7は近接していたが、これはずっと後だった。このシリーズは、全部コンサートでナマをきいている。4番は、定期演奏会。

録音:1993年2月16日、サントリーホール(ライヴ)

DSDリマスタリングの効果は大変なもので、非常にダイレクトな音になっている。昔はちょっともやもやした感じの音だった。

この8番、新日本フィルのだけあって、大阪フィルよりも音が透明なのと、非常にきちんと弾いているという特徴がある。また、朝比奈さんの表現は、かなり勢いに乗ったもので、かなりいじくっているところがあるし、すばらしいエネルギー感がある。最晩年の演奏よりも、音が太くて力強いように思う。

しかし、今こうやってききなおすと、不思議なものだが、実際に聴いたときの印象よりも、もっと普遍的なスタイルを感じる。それだけ、スタイルに一貫性があるということなんだろう。後年、非常にテンポが速くなるのだが、この時点がおそいか、というとそうでもない。

ライナーには、金子さんとの対談が載っている。実際の演奏例をもとに話されているので、何度読んでも実におもしろい。ここに、朝比奈さんは、8番はノヴァーク版でスタートしたが、名古屋大学のオケに客演したときに、ハースでやりたい、リハーサルは無制限だったそうだが、これですっかりハース版が気に入ってしまったようだ。この名古屋大学の記念碑的な演奏も昔きいたことがあるが、また聴いてみたい。

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ブルックナー 交響曲選集 朝比奈隆 NHK交響楽団

朝比奈さんとNHK交響楽団は、朝比奈さんのブルックナーが有名になり出したころに、9番と2番を取り上げたことがある。このとき2番というのが意外で、朝比奈さんが解説をしていたのを覚えている。

しかし、NHK交響楽団とのブルックナーでは、最晩年の8番、9番、4番がそれぞれフォンテックで発売され、大阪フィルの演奏では絶対きけない、実力日本一の演奏がきける。

私は、8番は2回とも行ったが、9と4ば行っていない。

8番は、さすがNHK交響楽団だけあるというアンサンブルの魅力をきいた感じがした。1日目は放送もされ、CDになっているのだが、2日目の方が数段すばらしかった。ちょっと早めのテンポで筋肉質の演奏だったのに、録音していなかったようだ。

4番はチャンスはあったのだが、その日は大阪で中学の同窓会があったので断念したのを覚えている。しかし、この4番は奇跡ともいえる名演奏で、その様子はその後の放送やCDでもわかる。この演奏会の直後、大阪にいる私に携帯に興奮して電話をかけてきた友人がいたほどだ。その彼は、数々のブルックナーをきいているが、はじめて満足できる4番に出会ったということだった。

9番は、テレビでみたが、非常にあぶなっかしくて、見るに耐えないものだったのだが、不思議にCDで音だけきくと、すばらしい演奏なのである。実際この演奏会に行っていた友人も、よくいっていなかった。

この3曲は、フォンテックから発売されている。非常に音の状態がいいので、ぜひSACDで出してもらいたいものだ。

交響曲第4番
交響曲第8番
交響曲第9番

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ブルックナー 交響曲選集 朝比奈隆 東京都交響楽団

東京都交響楽団とは、古くは、カテドラル教会での5番があるが、それ以降も、よくとりあげられていて、録音も多い。フォンテックからのCDは、録音時期とは関係なく、おなじようなデザインで統一されている。

池袋での8番は思い出深い。チケットは売り切れだったが、当日売りたしと出している人から入手。2日あったが両方いった。この2日、1日目は散々だったが、2日目はすばらしく充実した演奏だった。1日目はバラバラ。音もさえない。しかし2日目は見違えるような充実した演奏。録音は、2日目がベースであろうか。

この日、S山氏が、アメリカ人の友達をつれてきていた。このアメリカ人は、朝比奈さんの演奏をききにわざわざ来ていたのである。いたく感激したようだった。その後、HMVにつれていくと、そのアメリカ人が長いことさがしていたCDがたくさんみつかり、もし私が東京に住んだら、破産してしまう、とうれしい悲鳴をあげていた。

交響曲第7番
交響曲第7番
交響曲第8番
交響曲第9番

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ブルックナー 交響曲選集 朝比奈隆 新日本フィル

朝比奈さんは、新日本フィルの指揮顧問団の1人だったので、たびたび指揮台に登場した。とくにコンサート形式のニーベルングの指環は画期的な業績。ただ、あの指環のころは、朝比奈さんの健康は絶不調だったと、あとで本人からきいたことがある。

ところでブルックナー。かなり長期間にわたってとりあげているが、ここで話題にするのは、新日本フィルでチクルスをやったときで、これは、5番、7番、8番だった。その前に4番をやっていて、この4曲で1セット。私は、チクルスの3回のコンサートに行った。

このほかにちょっとたったときに、第3番をやった。これはたしか版がノヴァーク版だった。朝比奈さんは、3番は、いろいろな版を取り上げている。どれが、好きだったのか。

このシリーズは、フォンテックで録音され、映像もある。

このCDは、オケの音が非常に洗練されていて、とても状態がよい。朝比奈さんの新日本フィルのベートーヴェンもそうだが、音の純度が高く、とてもすばらしい演奏である。

録音があんまりよくなかったが、リマスターして、見違えるような音になった。

曲ごとの説明は、以下のリンクを

  ↓ ↓ ↓

交響曲第3番
交響曲第4番
交響曲第5番
交響曲第7番
交響曲第8番

朝比奈さんは、このツィクルスでは、第9番を入れていない。しかし、東京カテドラルの最初のシリーズで、第9番は、新日本フィルだった。

映像のセットがある。

朝比奈隆 ブルックナー 交響曲選集

タワーレコードから、SACDシングルレイヤーで再発売されます。

朝比奈隆 ブルックナー交響曲選集 新日本フィル SACDシングルレイヤー

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