ベートーヴェン 交響曲第2番 朝比奈隆 大フィル 学研 1973

ベートーヴェン 交響曲第2番
朝比奈隆指揮 大阪フィル
1973年8月8日
大阪厚生年金会館中ホール

第1番とつづけて聴くと、音質がずいぶん違う。
会場は同じだが、翌日。
非常にきりりと引き締まった表現で、なかなかスタイリッシュでもある。
なかなかスケールも大きい。すばらしい演奏である。

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ベートーヴェン 交響曲第1番 朝比奈隆 大フィル 学研 1973

ベートーヴェン 交響曲第1番 
朝比奈隆指揮 大阪フィル
1973年8月7日
大阪厚生年金会館中ホール

響きが綺麗で、なかなか雄大な演奏。
非常にきちんと演奏されていて、あんまり小型シンフォーにーの感じがしない。シャレた感じもある。

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ベートーヴェン 交響曲全集 朝比奈隆 大阪フィル 学研の最新リマスター

朝比奈さんの最初のベートーヴェンの交響曲全集は、学研が録音し発売しました。
当時、メジャーレーベルは、朝比奈さんを相手にしませんでした。

後年、あれほど、もてはやされたブルックナーなんて、もっと冷遇されました。朝比奈さんが日本のメジャーレーベルで最初に出したのは、ビクターのベートーヴェンです。ブルックナーに至っては、最初に出したのは、ジャンジャンです。レコード会社ではありません。あのジャンジャンのレコードで朝比奈さんの輝かしいブルックナーの歴史がはじまったわけですが、ベートーヴェンは、この学研盤です。これは最初の全集というだけでなく、セッション録音であるということでも価値があります。

この録音は、最初は、学研のLPのセットで、
CDは、メーカーをかえて2回出ました。
最初のCDは、カペレで分売。カペレでは園田さんとのピアコンもありました。
2回めのCDは、セットで。グリーンドア。これが異常に高価でした。

CDは、出てすぐに買いました。
最初のLPは、いつでも買えると思っていて油断していて廃盤になってしまいましたが、オークションで入手しました。

これが最近リマスターしてタワーレコードから発売されました。
元はアナログですから、今の技術をつかって、おそろしく音がよくなっています。

ブックレットの内容がすごいです。88ページというより、その中身。オリジナルの復刻です。井上靖、吉田秀和・・・。これだけの面々をあつめたこと自体、当時レコード録音がいかに大事業だったかわかるというものです。

録音の日程がすごいですよ。一気にやってます。
会場は、大阪厚生年金会館の中ホールです。今はもうありません。
大ホールはいまは、改装されてオリックス劇場になりました。当時、大ホールの音響は評判が悪かったのですが、中ホールは抜群でした。で、この録音がされたのです。

【録音】
1973年8月7日(1,6,7)
1973年8月8日(2)
1973年8月9日(3)
1973年8月8日,9日,10日(4)
1973年7月18日,8月7日(5)
1973年8月10日(8)
以上 大阪厚生年金中ホール

1972年12月27日(9,10)
大阪フェスティバルホール(ライヴ収録)

1972年1月16日,17日(11)
1972年1月17日(12)
以上 箕面市民会館

実は、この録音もっていながら、通しで聴くのは、今回がはじめてです。これから、ひとつひとつ聴きながらコメントします。

朝比奈隆/ベートーヴェン: 交響曲全集 (特別収録曲付き)<タワーレコード限定> [TNCL-1001]

朝比奈初めてのベートーヴェン全曲録音。最新の高音質リマスタリングで蘇る不滅の金字塔!
1973年、朝比奈隆の楽壇生活40周年を記念して学研が制作したベートーヴェン交響曲全集。唯一のセッション録音となったこの全集には、当時65歳の朝比奈の気迫に満ちた演奏が余すところなく収められています。今回のCD化にあたり、LPレコードで発売された当時の解説書を復刻(88頁)。さらに、特別編成盤として、1972年に別企画として録音された「運命」「未完成」も収録しました。
このセットは、当時朝比奈の楽壇生活40年を記念する企画であり、当時の学研がコストをかけてセッション録音をしたものです(一部はライヴ)。LP時代は豪華なBOXで発売され、CDの極初期に一度学研のレーベルで再発、そして数年前にリマスターを施した状態で国内のインディ・レーベルより再発売されておりました。そのときもブックレットを再現し、音質も向上をしており、朝比奈ファンを大いに喜ばせる出来でしたが、箱が大きく価格的にも高価でした。今回の再発売では、解説書も同じく当時のまま復刻し、ジャケはなるべく初出LP発売時のBOXのデザインを再現(金箔等再現不可要素もありましたが)し、さらに2013年最新リマスタリングを施し音質は更に向上。もちろん、別収録の「運命」と「未完成」も特別収録として今回収めております。
当時の熱気漂う豪華執筆陣による解説他も魅力的な要素のひとつ。発売当時、日本人によるベートーヴェンの交響曲全集の録音はまだ少なかった状況もあることから、この朝比奈の全集における日本の音楽界・文化界における期待は並外れたものだったのでしょう。特に同じ大学であった井上靖氏のエッセイ(大学時代に一度だけ声を交わした)や、吉田秀和氏による譜例を含めたベートーヴェン解説、諸井誠氏の作品解説は圧巻です。資料としても十分保存価値のあるものばかりです。何より総数88ページというのは読み応えのある素晴らしい解説書です。
朝比奈のベートーヴェン演奏の原点が聴ける今回のセットは、朝比奈ファンだけではなく、日本のベートーヴェン愛好家にとっても忘れられない、貴重な音源となるでしょう。待望の復刻です。

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朝比奈さんのベートーヴェン交響曲全集・選集 まとめ

ここで、朝比奈さんのベートーヴェンの交響曲全集について整理してみます。チクルスは9回やっていますが、録音されたのが8回です。
ただし、第8回の分は、演奏が原則として2種あります。
ほかにNHK交響楽団、倉敷音楽祭のものが全曲ではないですが、あります。

全集 第1回 大阪フィル 学研 1972/3 LP のちにCD化
全集 第2回 大阪フィル ビクター 1977/8 LP のちにCD化
全集 第3回 大阪フィル ビクター 1985 LPとCDが同時
全集 第4回 新日本フィル フォンテック 1988/9 CD、SACD、映像DVD全集あり
全集 第5回 大阪フィル キャニオン 1992 CD
全集 第6回 大阪フィル キャニオン 1996/7 CD、SACD、映像DVD全集あり
全集 第7回 新日本フィル フォンテック 1998/9 
全集 第8回 大阪フィル エクストン 2000 CDバラ、SACD全集
全集 第8回 大阪フィル エクストン 2000 完全版SACD
選集 NHK交響楽団
選集 倉敷音楽祭 1989/1996

第2回のものは、最初CDになるときに、第5番がチクルスで演奏されたものではないほかの演奏になっていました。最近再発されたものは、もとのものに戻りました。第2回は荘厳ミサとハ長調ミサもついています。この第2回目のものについては、第9とハ長調ミサは、私も合唱で参加しています。実際に生で聴いたのは、第8回のだけです。
第8回は、原則として2つの演奏の組み合わせ、たとえば、サントリーとシンフォニーというようになって2枚組で出ていました。のちに片方だけとってSACDのセットになりました。

朝比奈さんのファンなら、全部欲しいところですが、

とくに素晴らしいのは、第2回、第4回、第8回だと思います。
もちろん、第1回もおもしろいです。
そのほかのものは、演奏の歴史を聴くにはいいですが、いまから聴くとすれば、4つかな。

大阪のローカルオケとしての第1回。
東京での演奏もあり、日本のメジャーとなったのが、第2回。
新日本フィルはやはりオケが違うので、全然スタイルば違います。
最後のものは、やはり完成度が高いです。

ものによって入手が難しいものがありますが、朝比奈さん生誕110周年以降、順次再発売されています。
第1回、第2回、第4回、第5回、第6回、第7回、第8回は、入手可能です。

第5回は2020年4月にタワーレコードから再発されました。

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ブルックナー 交響曲第7番 朝比奈隆 大阪フィル 1975 フローニンゲン

朝比奈さんの1975年のヨーロッパツアー、あの聖フロリアンの演奏で有名なツアーですが、そのときのツアーでオランダ、フローニンゲンで行われたライブ録音が発売になりました。

朝比奈 フローニンゲン ブルックナー 7

1975年10月26日です。

日本ブルックナー協会が解散するということで、会員には、このCDが配られました。

そのCDが届いたので、さっそく聴いてみました。

CDの番号は、ALTUS ALT219です。

4543638002191
朝比奈 フローニンゲン ブルックナー 交響曲第7番 CD

朝比奈 フローニンゲン ブルックナー 交響曲第7番 SACD

印象としては、きわめて聖フロリアン盤に近いです。ジャンジャン盤のあのスピード感のある演奏とはちがって、非常にゆったりとしています。しかし、面白いですよ。ソリストの音色が、フロリアン盤といっしょですから。

こちらの方が録音が明快です。この録音を聴きますと、聖フロリアンのオリジナル録音が聴いてみたくなりますね。

テンポは、こちらの方が残響が少ない分、といってもけっこうあるのですが、若干速めですが、それでもかなりゆっくりではあります。

聖フロリアンの演奏では、ホールが狭かったので、全員がステージには乗っていないのですが、こちらは全員乗ったようです。

しかし、ここまでのスタイルの一貫性があると、聖フロリアンの演奏は、偶然の産物ではないことがよくわかりますね。

第1楽章、最初のイメージからして、聖フロリアンと似ているものの、もっとくっきりした印象があります。それでも、かなりホールの残響はあって、なめらかな音です。この欧州の演奏旅行のために、大フィルはものすごい特訓をして、この純度の高い音を手にいれたのです。第1楽章コーダをこれだけ壮大に演奏する人は、朝比奈さんしかいませんが、ここでも同様です。

第2楽章、こちらもフロリアンよりもくっきりしています。それと、中間部で、けっこうテンポの動きがあり、よりダイナミックな表現になっています。非常に足取りがしっかりしていて、ものすごく律儀でまじめな感じもありますね。ちょっと間延びするように感じるところもあります。

第3楽章、朝比奈調スケルツォですね。けっこうテンポ速いですが、重量級。フロリアン盤は残響が長すぎてなにがなんだかわからないところがありますが、こちらは、細部がきれいに聴こえます。トリオはより生真面目に聴こえます。

第4楽章、快調な滑りだし。最初は、洒落っ気がある。それにつづくシーンは、なかなか丁寧な歌がきこえる。表現としては、後年とくらべるとテンポがよく動く。この7番のフィナーレは、全体からすると規模が小さいのだが、朝比奈さんは、この時期から、ここをちゃんとフィナーレとして、非常に荘厳な表現にしています。

で、結論として、聖フロリアンとくらべてどうかというと、そりゃ、聖フロリアンが圧倒的にすばらしいと思います。これはフェアではないです。フロリアン教会には、なんたってブルックナー本人が眠っているんです。そして、あの荘厳な雰囲気、何者にもかえることができません。あの演奏は、まさに一期一会の奇跡がつまっています。すべての音が神がかって聴こえます。一刻もはやく聖フロリアンの正規録音が聴きたいですね。大フィルにあるそうです。

++++++++++++++++++++++++++++
以下、発売元の解説

新発見! 朝比奈 大フィル 伝説の75年ヨーロッパ公演最終日!
あの名盤ザンクト・フローリアンと双壁の名演
初発売となる本録音はエンジニア平澤佳男が同行録音したもので、大変秀れた音質で残されておりました。朝比奈らしい不動のインテンポの堂々たる大演奏! そのうえ特別なヨーロッパでの公演のためかある種ただならぬ緊張感漂う見事な出来栄え。1楽章コーダなどでのレンジの広さも特筆でアルプスの山々のごとき雄大さです。

自ら育てた大阪フィルとヨーロッパ公演を行うことを熱望し、1975(昭和50)年10月、ついにその夢は実現する。約1カ月間、20回にわたる公演の中でも、ブルックナーの〈7番〉はもっとも重要な作品であり、26日にオランダ・グロニンゲン(フローニンヘン)で収録されたこのライヴは新発見された音源だが、その完成度はきわめて高く、あの名高いザンクト・フローリアンのライヴ(12日)と双璧を成すものだ。──音楽ジャーナリスト岩野裕一

■朝比奈/大フィルの1975年ヨーロッパ公演音源 ~オランダ・フローニンゲン公演発売にあたって
既に同曲異演盤が多数ある朝比奈隆のブルックナー:交響曲第7番において、フローニンゲン公演をリリースする意味は二つある。一つは、この公演が大阪フィル1975年ヨーロッパ公演における朝比奈指揮の最終公演であった。ツアーはこの後秋山和慶の西ドイツ公演にて、無事終了した。朝比奈の代表的名盤と言われる、ザンクト・フローリアンの名演奏から丁度二週間が経過。当初、長距離移動や不慣れなヨーロッパ滞在で疲れも見られた楽団員も、すっかり欧州の空気に馴染み、より完成度の高い演奏となった。もう一つは、この演奏が当時の大阪フィルのフルメンバーによる、ブルックナー演奏であるということである。ザンクト・フローリアンでは会場の都合で、木管の倍管を止めたが、朝比奈はこの曲では常に木管の倍管を行っており、本公演の演奏はより朝比奈の目指したブルックナーの音響と言えるだろう。1975年ヨーロッパ公演は、現地放送局が収録したモントルー公演、ベルリンSFB公演を除き、全て同行した平澤佳男により収録された。マスターテープに添付されたデータシートによると、録音機材はマイクがNeumann SM-69、U-87、レコーダーはREVOX A700で、3M社製テープが使用された。ライヴ録音としては最高水準のものであり、当然クオリティの高い録音が実現した。本CDの制作に当たっては、この録音のクオリティをそのままCD 化するべくマスタリングを行った。再生にはStuder A-80を使用。Summit Audio真空管ラインアンプを経由し、DB Technologies AD122-96にてデジタル化した。既に幾つかのヨーロッパ公演の音源は発表してきたが、残念ながら音源の多くが所在不明となっており、その中には当時ラジオ放送され名演との誉れ高いハイデルベルクのチャイコフスキーも含まれる。しかし、存在が確認されたものも幾つか有り、ザンクト・フローリアンはオリジナルテープが残っている。また、協奏曲も幾つかあり、これらも何れ発表の機会を伺いたい。なお、ザンクト・フローリアンはORFリンツにより録音が行われており、このテープの所在についても、調査したいと考えている。(下田智彦 文中敬称略)
キングインターナショナル
発売・販売元 提供資料 (2011/12/09)

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日本ブルックナー協会が正式に解散するそうです

日本ブルックナー協会が正式に解散するそうです。

私はメンバーだったはずですが、その連絡は受け取っていません。最近会費も払った記憶ないですし・・・。

ただ、MIXIのコミュにそういう書き込みがあったのですが、気になっておりましたが、真偽がわからずじまい。

で、ネットを探していたのですが、旧友である、音楽評論家浅岡弘和氏のブログにこういう記事がありました。

朝比奈隆の遺産

日本ブルックナー協会の世話人だった小野寺氏よりおハガキがあり
遂にブルックナー協会が正式に解散するとの由。

そこで残金の40万円を使って
朝比奈/大阪フィル、ブルックナー7のフローニンゲン公演
のCDを制作し会員に配布するとか。

   フローニンゲンのブルックナー第7番のCD

小野寺さんというのは、むかし大阪フィルの事務局長だった方です。だから、確かだろうと思います。まだ、大阪フィルには照会していません。

日本ブルックナー協会は、朝比奈さんのコンサート(新宿でのブルックナーの第3番)のときに突然募集が開始され、大阪フィルに事務局がありました。こちらの玉井さんが、ずっと事務局をおやりになっていたのですが、突然ガンで亡くなり、それから、事実上休眠状態でした。朝比奈さんが亡くなって、10年。大フィルもブルックナーオケとはいえなくなりましたしねえ。

CDは、発売されていて、入手は可能です。

(1月31日追記)

上記のように、ハガキが来ていなかったのですが、本日、実家から転送されてきました。
長いこと活動していなかったこともあって、住所変更していませんでした。

以下にハガキの写真を載せますね。

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朝比奈隆 没後10周年

(本稿は、2011年12月29日に書いたものです。)

ちょうど10年前の今日、朝比奈さんは亡くなりました。

あの日のことは、忘れません。

翌日の朝はやく、スイスからの国際電話で第一報を受け、その時点では、日本のメディアのどこにも出ていなかったのですが、間もなく、その事実を知りました。

29日は、若杉さんの指揮で、第9の演奏会があり、そのまさに演奏中に亡くなったことになります。

翌日の第9の演奏会も若杉さんでしたが、朝比奈さんの大きな遺影がかざられ、たった一日で、雰囲気がかわってしまいました。

それから、しばらくは、音楽仲間と、朝比奈さんの音楽の思い出を語りあったものです。

朝比奈ファンは、朝比奈さんのコンサートに行くたびに、とくに約束もしなくても会場で顔をあわせ、演奏がおわったら、飲みにいくという習慣がありました。そういう習慣をもつような音楽家、今はいません。

いまとなっては、懐かしいかぎりですが、幸い、録音が数多く残されています。

今度は、1975年のブルックナーの第7の未発表録音が出るようですし、NHKでも、いろいろ特集を組んでいるようです。

これは、あの聖フロリアンの演奏が行われた楽旅の最後の演奏となったものです。こういうソース、これからも、まだ、出てくるようです。

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ブルックナー ミサ曲第3番 朝比奈隆 大阪フィル 1980年 (プライベート盤)

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この演奏は、1980年の大阪フェスティヴァルホールにおける定期演奏会です。

プライヴェート盤が作られました。
大フィル合唱団が出演する演奏会は、ライブ盤を作成し、出演料がわりに配布していたのですが、この時は、日本ブルックナー協会もからんでいたと思います。

私は、この時点で、すでに団員ではなく、演奏には参加していませんが、東京からかけつけて、聴きにいきました。

大阪フィル合唱団が1曲の練習に半年というのが通例だったのに、朝比奈の御大がわざわざ1年かけて練習した、熱意の産物です。

この演奏を聴いて、私は、涙がと止まりませんでした。

おわってからの打ち上げで、バスがベネディクトゥスの旋律はわれわれしかないんだ、と自慢気に語っていたのを思い出します。

その後、カテドラルでもっとすっきりした演奏がなされ、それはLP、CDで公式に発売されましたが、こちらは、このプライヴェート盤しかありません。

公式録音ではないので、音の品位はすこし落ちますが、きれいな録音です。

***********************

この演奏の原因になった飲み会のもようを再録しますね。

あれはいつのことだったか、大阪フィル合唱団での練習がおわったあと、パートで飲み会があった。ちょうど、その日は朝比奈のオッサンの総練習の日だったのだが、だれかが、声をかけたらしい、朝比奈御大がこの飲み会に参加したのである。この席で、ある団員が立ってしゃべりはじめた。だれだったか、おぼえていない。「我々は、朝比奈先生の下で、もう何年も歌ってきた。もう朝比奈先生の体臭を表現できるようになったと自負している。しかし、本当に残念なことだが、朝比奈先生の十八番である、ブルックナーをまだ一度もうたったことがない。ぜひともブルックナーをやりたい。それもテ・デウムなんかけち臭いこといわないで、ミサ曲第3番をやりたい。」と切り出したのである。皆、なにを言い出すのかとおもったのだが、考えることは実はみんないっしょで、すっかり盛り上がってしまった。しかし、一番心を動かされたのは、朝比奈御大だったのである。それから間もなく、ミサ曲第3番の演奏会をすることが決まった。朝比奈さんの気合の入り方は半端でなく、通常半年の練習なのに、これは1年かける。それも合宿もする、ということなのである。それで、実現した演奏会が1980年7月14日大阪フェスティヴァルホールでのコンサート。それはそれは感動的な演奏会だったのである。

この合宿、最初は朝比奈の息子がリハーサルをやったらしい。これで、すくなくとも練習の一貫性が途切れてしまったらしいのである。もしこれさえなければとの話もあった。

この演奏会、東京からかけつけた。前の方の席だった。しかし、そこから聞こえてくる声は、今までの大フィル合唱団から決してきけなかった、本当に純度の高いもので、本当に美しい演奏だった。鳥肌はたつし、涙は流れるし、実に感動的な演奏会だった。終わってから、打ち上げに参加したが、あの一番美しいベネディクトゥスの主旋律はバスだけしかない、とバスパートの人が誇らしげに言っていたのを思い出す。

このときの演奏は、大フィル合唱団がレコードにしている。これは本当に貴重な財産だ。その後カテドラルでの演奏は、東京のコーラスで、もっともっとすっきりした演奏である。

朝比奈さんの思い出

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朝比奈隆 生誕103年!

(本稿は、2011年7月9日に書いたものです。)

さきほど、投稿した記事にすばらしいコメントをいただきまして、その方のブログを拝見したのですが、

そうそう、今日は、朝比奈さんの誕生日でした。

もし生きておられたら、103歳ですね。

これ、私事ですが、朝比奈さんと同時期に京大の法学部に通っていた勉強嫌いの伯父も生きていたらそうなるわけです。(といっても、伯父は、弘前で同級だった太宰治は知っていても、朝比奈さんは知らないそうです・・・)

思い出させていただき、ありがとうございました。

このブログでいろいろ書き始めて、ちょっと中断しておりました。

CDを聴いて書くとなりますと、1曲1曲が長いものですから、ちょっと時間が必要になります。このところ、そういう時間がもてなくて、更新をさぼっておりました。

没後10年というときに、全部聴いてみようと思ったものですから、サワリだけ聴いてあとは思い出して書くというのも勿体なく、というより、今聴くと、記憶とは印象が異なるのであります。だから、あらためて今、全部聴きなおそうと思ったわけです。

私は、自他ともに許す朝比奈ファンとして、CDは、発売されている限り、全部買いましたので、いつでも聴けるわけです。ただ、整理ができていなくて、今、どこにあるのか探さなければならないのですが。

朝比奈さんの音楽というのは、はじめて聴くとき、それまでは、たとえば、カラヤンなどを聴いているわけですね。そうしますと、いかにも野暮ったくて、格好悪いのですよ。

しかし、これが音楽の面白いところなんですけど、わずか数分ほどで、その違和感が全然なくなるのですよ。ずっと聴いていたような感覚なんです。

カラヤンでもフルトヴェングラーでもエロイカなんか、テンポ速いんです。朝比奈さんはゆっくりしています。最初、おそいなあ、と思うのですが、本当に不思議なんですが、遅く感じなくなる。そういう説得力のようなものがあるわけなんです。

これ不思議です。

というわけで、私は、もともと、フルヴェン派ではなくて、ピエール・モントゥーとか、シャルル・ミュンシュ、アンドレ・クリュイタンスといった、端正ながら非常に優雅なもの、または、ミュンシュのような華麗な演奏を聴いていたのですけれど、朝比奈さんの世界にはまるのに時間はかかりませんでした。

ま、ちょっと事情が違いますけどね。レコードからはじまるのと、生から始まるのは、だいぶね。

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朝比奈さんの音楽的才能

朝比奈さんの音楽的な才能はどうなのでしょうか。

本来、本当にすばらしい演奏をたくさん残している方に対し、こういうことを語るのも何なんですが、かなり批判的な意見も多く耳にしますので、あえてこの点について書きたいと思います。

朝比奈さんについて、批判的に言う人は、この点について、いろいろ欠点を並べる、というのが、常のようです。

朝比奈さんが、音楽学校を出ていない、というのは、あまり大きなファクターではないように思います。というのは、日本の音楽家、とくに作曲家についていえば、超一流どころが、音楽大学を出ていない、という例が多いからです。典型的なのは、武満徹、三善晃といった方たち。こういう方たちは、個人レッスンをうけているのです。  

朝比奈さんの場合、指揮については、メッテルという師匠がおり、ヴァイオリンについては、モギレフスキーの弟子です。当時、多くのユダヤ人音楽家が、母国をおわれ、アメリカをはじめ、いろいろなところにうつる例が多かったのです。だから、ユダヤ人ではなくても、いろいろな音楽家がナチスの影響からのがれている例が多いのです。メッテル、モギレフスキーはどういう事情で日本に来たか、わからないのですが、ものすごい大家です。その点、相当高度な音楽教育を受けている、といえると思います。たぶん、いまどきの音楽大学よりはるかにすばらしい音楽的な教育を受けているでしょう。

指揮者というのは、自分で音を出すわけではないので、指揮の技術がうまければ、いい音楽ができる、ともいえないわけで、朝比奈さんの棒というのは、器用ではなく、上手ではないですが、それもとくに大きな問題にならないと思います。

指揮者は、やはりどういうリハーサルができるか、ということが大切です。

耳はどうか。どれくらい聞き分けられるのか。これについては、経験で補っている部分が多く、かなりわかるようでした。ただ、完全とはいえず、私が合唱団にいるときに、世界初演曲をやったとき、そのオケあわせで、金管が完全に倍のテンポでひいていたのにずっと気づかないという現象がありました。まあ、世界初演ですから仕方ないのかも。本番まで、なかなかマスターできないというのは、よくあることです。

ヴァイオリンの技術はわかりません。実は、私の大学の恩師、林良平先生は、ピアノの名手で、京都大学交響楽団でピアノコンチェルトを弾くくらいの腕前でしたが、昔、朝比奈さんがヴァイオリン、林さんがピアノというリサイタルを何度もやったそうです。しかし、腕前については、聞きませんでした。朝比奈さん自身は、ヴァイオリン弾きだった、とよく言っていましたが。

朝比奈さんの最晩年、かなり技術的にもあやしくなっていました。もうヨボヨボで振るのも大丈夫かなあ、というような状態のときもありました。朝比奈さんは、自らはやめるといわないので、まわりでは、早くやめてくれ、という話はよくされていました。これで最後だから、ということで、オケのメンバーもよくあわせてくれたので、それでも長生きしましたので、そういった状態、けっこう長かったように思います。

こういう点については、いろいろ述べられているのですが、朝比奈さんの音楽というのは、そのパートの積み重ねに意味があったのです。ボーイングを丁寧に自前のパート譜に書き込み、長い時間をかけて準備をしてきました。晩年に花ひらいたのは、その積み重ねの成果です。パート譜がしっかりしていれば、リハーサルをはじめる段階で、かなり下地ができているわけです。その積み重ねが大事なのです。

音楽というのは、わからないもので、そういうすべての要素が演奏に反映するのです。オケに敬老の精神があれば、ささえてくれるし、何よりも聴衆がもりあがっていますから、本番になると、みなやる気になるわけです。

それでも好不調の波はけっこうありました。ダメなときはダメでした。しかし、うまくはまったときは、すばらしい演奏をしていました。

この不調なときにあたってしまった聴衆は、朝比奈さんをよく言いません。しかし、はまったときを知った人は、見事にリピーターになったわけです。

朝比奈さんは、長いこと、パート譜を丁寧につくり、それこそ、職人芸の積み重ねをしていたわけです。そういう資産は残ります。だから、その積み重ねで、いい演奏が生まれてきたともいえます。

そこらへん、指揮者は、かなりの高齢になってから、とてもいい演奏をするようになる、という例がけっこうあります。

朝比奈さんの音楽的才能が一流なのか、二流なのか、そういう議論、ファンにとっては、あまり重要ではないのです。あの幸せな時間を与えてくれた、というだけで、感謝しているわけです。

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