ブルックナー 交響曲第5番 朝比奈隆 新日本フィル 1992年 DSDリマスター

朝比奈 ブルックナー 交響曲第5番

朝比奈さんの生誕100周年記念シリーズの1つ。新日本フィルのFONTEC盤。DSDリマスタリングというのがウリ。これは、昨日立川の山野楽器で購入。このリマスタリングがいい結果をもたらしているというので、さっそくきいてみる。このシリーズは、全体的に録音の評判がよくないが、そのの中で一番録音が悪いとされていた、ブルックナーの5番からききはじめる。

1992年9月2日、サントリーホールでのライブ。この演奏会は、実際にきいている。新日本フィルが朝比奈ブルックナーのシリーズを行い、5,7,8を取り上げた。これ以外に4番は定期演奏会で取り上げている。私は、このうち、シリーズの3曲をきいている。あとは、だいぶあとに行われた3番。新日本フィルのブルックナーは、大阪フィルのものとくらべると、音程はしっかりしているし、正確に弾かれているが、大阪フィルとの演奏のような、親密さからくる独特の雰囲気はあんまりない。オケの音が澄んでいて明るい。

ライナーノーツが金子さんとの対談になっていて、譜例もたくさんあり、むちゃくちゃおもしろい。以前読んだことのある文章なのだが、読み入ってしまう。

さて、CDの音だが、たしかに以前のものよりはっきりくっきりしているし、第一音が悪いなんてとても思えないいい音である。DSDマスタリングの成果なのだろうか。CD製作の技術の進歩もすばらしく、デジタルメディアにしては25年も持つなんておどろくほど長生きである。このCD,もともと演奏はすごいが録音は駄目というものだったが、これで録音がよくなってしまったのだから、もう決定的な名盤の誕生といっていい。技術の進歩がもたらした名演の誕生である。

ゆったりしたテンポで、非常に幅の広いというか、スケールの大きな演奏で、最晩年のものとは違う力強さを感じさせる演奏。非常に風格がある。一気にきかせてしまう大きな流れがある。

全体的に、弦楽器が非常に力をいれたボーイングをとり、かなり音を長く保つ奏法をしている。それが、いつもより顕著な気がする。

ものすごい重量感があり、それがとくにフィナーレになってすごさが増す。金管楽器のパワーもすごいものがある。あとになるほど凄みが出る。倍管になったあとのコーダのすさまじさは、鳥肌がたち、涙がボロボロこぼれる壮絶なる音の饗宴である。

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ブルックナー 交響曲第7番 朝比奈隆 新日本フィル 1992年 DSDリマスター

朝比奈 ブルックナー 交響曲第7番

朝比奈~新日本フィルのブルックナーのDSDリマスターの2枚目。第7番。これは実際に聴いている演奏。新日本フィルのチクルスで、5,7,8の三曲が取り上げられたもの。
1992年9月8日、サントリーホールでのライブ。この演奏は、実際にきいている。

やはり、大フィルとは、音色がだいぶ違い、透明度が高いのと、ちょっと粘りがあるような印象がある。

音が思った以上に太く、雄大な音楽が奏でられる。第1楽章もゆったりと太く、表現意欲が非常に強い。楽器のバランスも大フィルのとは、ちょっと違う感じがする。

第2楽章も、とても雄大。弦楽の分厚さが目立つ。録音の影響もあるだろうが、ものすごいエネルギー感。微妙ではあるが、けっこうテンポが動く。高揚感がすごい。

第3楽章は、やはり朝比奈調重量級スケルツォだが、中間部なんか良く流れるし、かなり盛り上がる。表現意欲満々。

第4楽章。比較的軽くなりやすいこの楽章も非常に立派な表現。音がなりきっている。オケも非常に乗っている。

この新日本フィルの第7番は、朝比奈さんのほかの7番と比べると、かなり線が太くて、雄大さがあり、表現意欲があるということでは、最右翼だと思う。

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ブルックナー 交響曲第8番 朝比奈隆 新日本フィル 1993年 DSDリマスター

朝比奈 ブルックナー 交響曲第8番

新日本フィルとのブルックナーチクルスの実況録音で、これがこのチクルスでは最後の演奏会だった。サントリーホールで5,7,8とやったのだが、5,7は近接していたが、これはずっと後だった。このシリーズは、全部コンサートでナマをきいている。4番は、定期演奏会。

録音:1993年2月16日、サントリーホール(ライヴ)

DSDリマスタリングの効果は大変なもので、非常にダイレクトな音になっている。昔はちょっともやもやした感じの音だった。

この8番、新日本フィルのだけあって、大阪フィルよりも音が透明なのと、非常にきちんと弾いているという特徴がある。また、朝比奈さんの表現は、かなり勢いに乗ったもので、かなりいじくっているところがあるし、すばらしいエネルギー感がある。最晩年の演奏よりも、音が太くて力強いように思う。

しかし、今こうやってききなおすと、不思議なものだが、実際に聴いたときの印象よりも、もっと普遍的なスタイルを感じる。それだけ、スタイルに一貫性があるということなんだろう。後年、非常にテンポが速くなるのだが、この時点がおそいか、というとそうでもない。

ライナーには、金子さんとの対談が載っている。実際の演奏例をもとに話されているので、何度読んでも実におもしろい。ここに、朝比奈さんは、8番はノヴァーク版でスタートしたが、名古屋大学のオケに客演したときに、ハースでやりたい、リハーサルは無制限だったそうだが、これですっかりハース版が気に入ってしまったようだ。この名古屋大学の記念碑的な演奏も昔きいたことがあるが、また聴いてみたい。

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ブルックナー 交響曲第8番 朝比奈隆 大阪フィル 2001年7月 サントリーホール

ブルックナー 交響曲第8番

朝比奈さんのEXTONによる最後のブルックナーシリーズの1つ。2001年は、朝比奈隆の軌跡というシリーズでブルックナーの演奏が行われた。8番の演奏もあったし、それは録画されて朝日放送で放送された。DVDで出る話があったが、とりやめになってしまった。今回の演奏は、このシリーズとは違い、東京定期演奏会でのライブ。いつもは東京定期は休日に行っていたので行っていたのだが、この年に限って平日に行われた。だからこの東京公演は行っていない。2回やったので、相当きつかったんではないだろうか。映像でも残されている。この年は、8番の演奏頻度が高く、2月に大阪フェスでの定期演奏会、名古屋の演奏会もあった。私はこの名古屋の演奏が一番気に入っており、これも発売されている。2001年7月23、25日、東京、サントリーホール(ライヴ)

さて、発売にはなったものの、帰宅がおそくて、実際手にしたのは、4月5日の昼である。さっそく、この8番から聴いてみる。

とにかく音がいい。すかっとしていて、空間がきれいに出る。今回のSACD化は大成功で、今まで発売されたものとは、かなり音の印象が違う。

大フィルの音もとても美しい。最初の印象は、テンポがかなり速い。しかし、もう最初からブルックナーの世界にひきこまれてしまう独特の世界が始まる。表情が淡々としているが、絶妙の味わいがある。ことに、この最後のブルックナーシリーズは、朝比奈さんのこのころの特徴というか、クレンペラーを意識し、かなりテンポの速くなったというのがよくあらわれている。表面上非常にすっきりとした淡々という印象なのである。だけど、うすいという感じがしなくて、内面からしみこんでいくという、実に感動的な音楽なのである。静かに浸っていたい。それと、微妙にテンポが動く。即興的なスタイルもちょっとある。そういういもしろさもたくさんある。私は、名古屋の演奏がすきだが、今回、このサントリーをまた聴いてあらためてすごいと思った。

たぶん、この印象、この新しいHQ-SACDというメディアも相当寄与していると思う。自然な残響が、表面のミスもうまく隠すような感じもする。

ちょっとテクニカルな話を。

第2楽章のトリオの最終のフルートが4回同じ旋律をくりかすところで、これの最初発売された盤は1小節欠落していたが、その後直したものが発売された。私の友人はすぐにその事実をEXTONに連絡したが、最初はそんなはずはないとの反応だったが、すぐにHPで案内が出て、直接メーカーが1枚目のみ交換をした。レコード店ルートでは受け付けなかった。編集ミスだったようだ。私は交換してもらった。説明と粗品が入っていた。しかし、1枚目の違うCDも持っていてもよかった。今回の盤はちゃんと4回歌っている。

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ブルックナー 交響曲選集 朝比奈隆 新日本フィル

朝比奈さんは、新日本フィルの指揮顧問団の1人だったので、たびたび指揮台に登場した。とくにコンサート形式のニーベルングの指環は画期的な業績。ただ、あの指環のころは、朝比奈さんの健康は絶不調だったと、あとで本人からきいたことがある。

ところでブルックナー。かなり長期間にわたってとりあげているが、ここで話題にするのは、新日本フィルでチクルスをやったときで、これは、5番、7番、8番だった。その前に4番をやっていて、この4曲で1セット。私は、チクルスの3回のコンサートに行った。

このほかにちょっとたったときに、第3番をやった。これはたしか版がノヴァーク版だった。朝比奈さんは、3番は、いろいろな版を取り上げている。どれが、好きだったのか。

このシリーズは、フォンテックで録音され、映像もある。

このCDは、オケの音が非常に洗練されていて、とても状態がよい。朝比奈さんの新日本フィルのベートーヴェンもそうだが、音の純度が高く、とてもすばらしい演奏である。

録音があんまりよくなかったが、リマスターして、見違えるような音になった。

曲ごとの説明は、以下のリンクを

  ↓ ↓ ↓

交響曲第3番
交響曲第4番
交響曲第5番
交響曲第7番
交響曲第8番

朝比奈さんは、このツィクルスでは、第9番を入れていない。しかし、東京カテドラルの最初のシリーズで、第9番は、新日本フィルだった。

映像のセットがある。

朝比奈隆 ブルックナー 交響曲選集

タワーレコードから、SACDシングルレイヤーで再発売されます。

朝比奈隆 ブルックナー交響曲選集 新日本フィル SACDシングルレイヤー

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ブルックナー 交響曲選集 朝比奈隆 大阪フィル EXTON 2001年

朝比奈さんが亡くなる直前に、大阪で行われた朝比奈隆の軌跡というシリーズで、ブルックナーの交響曲が取り上げられました。

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演奏されたのは、5,8,9の3曲。このほかに、別の企画で4番が演奏された。あと、定期演奏会で7番が演奏されています。

キャニオンから発売されているのは、このうち、4,5,7,9で、8はこのシリーズではなく、サントリーで2日間おこなわれたものです。 朝比奈隆の軌跡は大阪の朝日放送で録画され、放送もされました。DVDの発売予告がありましたが、発売されていません。9番の映像のみEXTONから出ています。

なお、ほとんど同時期に、フェスティヴァルホールでの定期演奏会で8番を、そのすぐあとに名古屋で8番を演奏しています。

朝比奈さんにとっては、最後のブルックナーのシリーズ。9番が演奏されたあと、名古屋のチャイコフスキーの演奏が生涯最後のものになりましたが、その次の大阪での定期は3番が発表されていました。その楽譜の版が話題になっていましたが、棺に入れらえてしまいましたので、どの稿なのかわからないままになっています。この演奏会は、外山雄三がかわり、内容はシューベルトのグレイトでした。

というわけで、シンフォニーホールでの8番は、CDメディアでは出されていません。テレビでの放映はされており、これも非常にすばらしい演奏でしたが、東京の分が発売されてます。

同時期の名古屋の演奏は、私がきいた8番では、最高のもので、これこそ一生の思い出になる超絶名演でした。朝比奈さんがなくなったあと、DVD-オーディオとCDの抱き合わせの形で発売され、その発売形態が非難の的になってしまいました。

最晩年の朝比奈さんは、クレンペラーを意識したということで、非常にすっきりとして、そしてテンポのはやい、贅肉のとれた演奏が特徴です。

最後の第9番は、映像にもあっていて、もうヨボヨボで見るのもつらく、また演奏もかなり不安定です。

しかし、それ以外は、非常にすっきりした名演になっており、この年になって、この境地に達したという、すばらしく完成度の高い演奏が記録されています。

とくに、SACDとなって出てきたものについては、ものすごく音が美しく、ちょっと信じられない境地です。

交響曲第4番 シンフォニーホール 朝比奈隆の軌跡
交響曲第5番 シンフォニーホール 朝比奈隆の軌跡
交響曲第7番 フェスティヴァルホール 定期演奏会 生涯最後の大阪での定期演奏会
交響曲第8番 サントリーホール 東京定期演奏会
交響曲第9番 シンフォニーホール 朝比奈隆の軌跡 生涯最後のブルックナー演奏

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ブルックナー 交響曲全集 朝比奈隆 大阪フィル キャニオン

3回目のブルックナー交響曲全集は、キャニオンで録音されました。
第7番から発売されましたが、全集にするという予告は見覚えがなく、急にはじまった記憶がありますが、ビクター盤が中途半端だったので、とてもうれしいニュースでした。そして、非常に高水準の全集ができました。

ブルックナー 交響曲全集 朝比奈隆 キャニオン

これは、何度も発売されています。

1回目 録音の都度、個々にCDばら売り

2回目 セット

3回目 HDCDで安くしてばら売り

4回目 ハイブリッドSACDマルチチャンネルばら売り

5回目 セット

6回目 ハイブリッドSACDのセット

録音メディアの進歩をそのままうけて、非常にすばらしい音響です。

1,2,3,6は、大阪フィルハーモニー会館でのセッション録音

そのほかは、ライブです。

第8番が1994年当時、伝説の名演といわれていました。

それと、スタジオ録音の4曲が、これが最後の録音ですが、どれもきわめて高水準の演奏です。

個々のコメントは以下に

交響曲第1番
交響曲第2番
交響曲第3番
交響曲第4番
交響曲第5番
交響曲第6番
交響曲第7番
交響曲第8番
交響曲第9番

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