ブルックナー 交響曲第4番 朝比奈隆 大阪フィル 1989年 ビクター

ビクターの全集に含まれているもの。

朝比奈 ブルックナー 交響曲第4番

ビクター盤は、基本的にカテドラルのライブをメインにしているが、日本フィルのあの記念碑的な演奏ではなくて、大阪フィルのライブを採用している。このビクターの全集、やはりよく演奏される4番は大阪フィルということにこだわったのだろう。

名演だったカテドラルのライブは、ながいこと手にはいらなかったが、今は、タワーレコードが出している。あの実演での興奮はわすれられない。

これは、1989年2月17日の大阪フェスティヴァルホールのライブ。

この演奏のライブはきいていない。このころの大阪での演奏会にはほとんど行っていないのである。

ジャンジャンのものよりはるかに透明感があり、すっきりした印象がある。

第1楽章

最初のホルンの音が澄んでいない。が、そのつぎの弦からは音の純度が高くなる。あのジャンジャンのような、ものすごくうきうきする名調子はないのだが、十分な推進力をもってぐいぐいとひいている。やはり中間部以降なかなか快調で、金管の音も澄んでくる。

第2楽章

おちついた足取りで、なかなか美しい演奏。ジャンジャンのときより、音質的には、向上している。

第3楽章

音に勢いがあるが、金管の音の純度が低いのが気になる。音の構成力とか、じゃんじゃん盤よりもスケールが大きくなっている。

第4楽章

最初のところの音のたての線がそろっていない。比較的合奏が雑なところが目立つ。音の勢いはあるが、どうも音が汚れてくるのが少々残念ではある。

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ブルックナー 交響曲第3番 ノヴァーク第2稿 朝比奈隆 大阪フィル 1984年

朝比奈さんのビクター全集にフィルアップされているもの。

朝比奈 ブルックナー 交響曲第3番

この演奏は、アダージョ第2番とあわせて最初LPで出た。そのとき同時にこれだけがCDで出たのだが、LPを買わなかったのは、今にして思えば痛恨事である。しかし、その後ようやくアダージョも出たので、何とかなったが・・・。

1984年大阪フェスチヴァルホールでのライブ。

録音は、ホールトーンをよくひろっていて、なかなかすばらしい。

ジャンジャン盤と比べて音の品位はずいぶんあがっている。

朝比奈さんとしても、この曲は苦手にしている。対談でも、できたらやりたくない、とまで言っている。

楽譜は、ハース版がないこともあって、いろいろやっている、これは、ノヴァークの第2稿によっている。

基本的に。ジャンジャンと比べても淡々とした演奏。

第1楽章、淡々とすすみ、どちらかというとあっさりした表現、ある意味乗り切れないところもあるかもしれない。

第2楽章、こちらも淡々としているが、音楽がよく流れ、スケールも大きい。

第3楽章、スケルツォ。刻みがしっかりしていて、比較的ゆっくりめのテンポで、なかなか雄大である。
トリオは、中庸のテンポで、チェロの主題も美しい。流れも悪くない。

第4楽章、こちらは、ぐいぐいとかなりエネルギッシュ。最後までスケールの大きい音楽がつづく。この稿だと、エーザー版とくらべてカットが多く、あっさりと終わってしまう。

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ブルックナー 交響曲第0番 朝比奈隆 大阪フィル 1978年 ビクター

ビクターから発売されたブルックナーの交響曲全集にフィルアップされているもの。最初は、LPで発売された。

ビクターの全集は、ジャンジャンのあとの時代の寄せ集めではあるが、この時期の演奏は、なかなか充実しているからおもしろいものがそろっている。

最初セットで出て、それから、追悼盤ということで再発された。今は、復刻されており、単独で入手可能。

さて、第0番。

朝比奈 ブルックナー 交響曲第5番②、第0番

朝比奈さんは、この曲は4回しかとりあげていない。そのうち3回は公式録音されている。1回は朝比奈会がCDにしている。私は、朝比奈会は、最初は入っていたのだが、熱心な会員ではなく、その後会費をおさめていなかったので、除名されてしまった。だから、この2回目の演奏はもっていない。それから、札幌で演奏した。その後は、完成度が低いということでレパートリーからはずしてしまった。

この第0番は、大阪フィルの定期演奏会でのライブ。1曲目は、シューベルトのミサ曲第5番で、このステージは、私は合唱団の一員として歌い、休憩後ただちに2階席に行き、この歴史的な日本初演に立ち会ったのである。

このシューベルトの演奏は、大阪フィル合唱団がLPにしており、私も所有しているので、いずれコメントしたい。

かなりオンマイクの録音であるが雰囲気もよく出て、すばらしい音がきける。(シューベルトのミサのLPはあんまり音がよくない、当時商業用とそうでないものは録音の質がずいぶん違った。)

第1楽章、ちょっとゴツゴツしたところがあるものの、なかなか清涼な音色で、推進力もある。音楽の愉悦感を十分に感じることができる。ブルックナーの初期の作品であるが、まさにブルックナーの音がしている。ちょっと弦で音程があぶないところもある。

第2楽章、比較的淡々としているが、ヴァイオリンの歌がはじまると実にしみじみと味わい深い。

第3楽章、豪快でど迫力のあるスケルツォ楽章。この楽章は、やはり美しいトリオがききもの。シンプルながら美しさを楽しむことができる。

第4楽章、推進力があり、なかなか力強い表現。ただ、曲の出来というか、対位する旋律が単調なのが気になる。構造的には、やはり弱いのかもしれない。演奏は、豪快です。

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ブルックナー 交響曲第5番 ハース版 朝比奈隆 大阪フィル 1978年 ジャンジャン

ジャンジャンの交響曲全集の最後に録音されたのがこの第5番。

1978年1月25日、大阪フェスティヴァルホールにおける実況録音。私は、この演奏を実際に聴いている。

朝比奈さんは、この曲の演奏がもっとも難しいということで、最後まで残していたのである。ジャンジャンの全集には、このことについての朝比奈さんの文章が載っている。

これは、ジャンジャンの録音の最後だということで、私もけっこう気合がはいっていた。それで、大阪フェスティヴァルホールのボックス席をとったのである。それも中央の。このホールでは、最高の席である。こういう席がとれたのも幸運であった。

しかし、私は、この生演奏を聴いて、楽しめなかったのである。

実は、この席がよくなかったのかもしれない。音がダイレクトに届かないのである。ある種のもどかしさが残った。そして、当時の私にとって、この曲はまだ理解不能だったのである。はじめて、おもしろいと思ったのは、その後のザルツブルグ音楽祭のカラヤン指揮ウィーンフィルのFM放送を聴いて、そして、朝比奈さんの演奏で本当に感動したのは、1980年のカテドラル公演である。当時、私は、クナッパーツブッシュなどのLPで聴いてはいたのだが、曲そのものになじめなかった。

今、こうして、録音で聴けるわけであるが、非常にすばらしい演奏なのである。

朝比奈さんとしては、これよりも前で東京で大成功しているし、全集のしめくくりとして、確信をもって臨んだ演奏会に違いない。

当時のアナログ録音もすばらしく、雰囲気もよくでている。

第1楽章、非常にゆったりと進む。堂々としていて、厳かである。比較的静かに聴こえる。第2主題になっても、基本的に非常にゆったりしている。テンポがはやくならない。金管楽器のレベルが、やはり今よりもずいぶん低いが、弦は、比較的ダイナミックの幅が大きい。

第2楽章、非常に悠然とした表現。晩年のものよりも、ずっと表現が自由なのと、むしろやわらかさがある。

第3楽章、朝比奈流スケルツォの表現。テンポがゆっくり目でずしりと重い。これは、当時から同じスタイル。きわめて、まじめな表情である。晩年のものは、もっと楽しく演奏している。トリオのところにはいると、子供の声らしきものが聞こえるのはご愛嬌。

第4楽章、非常にゆっくりと静かにはじまる。前の楽章の回想シーンがつづく。フーガのはじまりから、だんだん熱を帯びてくる。どんどんのってくる。そしてコラール。このコラールが、どうしても金管の実力の限界を感じるが、善戦している。弦がしずかにでてくるところが感動的。それからは、ずっとエネルギーをもちつつ、圧倒的な迫力をもって終わる。

晩年の演奏と比べると、自由度が高いともいえるが、音楽するパワーを感じる反面、楽しさは後年の演奏に譲る。晩年は、もっと音楽が透明になり、愉悦のこころが加わる。

しかし、基本的なスタイルはほとんど変わっていない。それだけ、朝比奈さんのブルックナーとの出会いは、本当に幸福そのものであったということだろう。

・交響曲第5番変ロ長調 WAB.105(ハース版)[78:25]
 拍手:0:38
 第1楽章:21:30
 第2楽章:17:28
 第3楽章:14:33
 第4楽章:24:54
 拍手:5:11
 録音時期:1978年1月25日
 録音場所:大阪フェスティバル・ホール
 録音方式:ステレオ(ライヴ)

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ブルックナー 交響曲第3番 エーザー版 朝比奈隆 大阪フィル ジャンジャン

ジャンジャンの全集です。

朝比奈さんは、この第3番は比較的苦手にしていたようです。苦手といっても、残した演奏はどれもすばらしいです。

それとは関係ないかもしれませんが、ハース版一辺倒の朝比奈さんとしてはめずらしく使う楽譜もさまざまです。もっとも、第3番にハース版はないのですが。

この最初のジャンジャン盤は、エーザー版をつかっています。その後のビクター盤は、ノヴァークの第2稿、最後のキャニオン盤は、改訂版です。最後のものは、最初CDが発売されたときは、ノヴァーク第3稿と発表されていましたが、再販で訂正されています。ワーグナーの旋律のある第1稿は、演奏されていません。なくなった年に予定されていたのが、この最初のものになるといううわさがありました。しかし、そのスコアは、長男が棺に入れて燃やしてしまったのです。ここらへんの事情はよくわかりませんが。

これは、大阪フィルハーモニーの定期演奏会で演奏されたものです。1977年10月28日の大阪フェスティヴァルホールでのライブ録音です。

この前にイングリット・へブラーがモーツァルトのピアノ協奏曲を演奏しました。何番かわすれました。

この演奏会、私は聴きに行きました。席は、1階の左の方で、へブラーの背中が見えました。

それで非常に残念なのですが、まったくもっておもしろさがわからず、がっかりしたのです。しかし、まわりは拍手大喝采でして、そのギャップの差にショックを覚えました。

私は、この曲をちょっと苦手にしていまして、それで、なじめなかったのです。

しかし、今、これ聴くと、いい演奏なんですね。

第1楽章、かなりリズムにのって快調にはじまります。金管の全奏も立派。けっこう流れがいいです。その後も堂々とすすみます。

第2楽章、やさしい音楽ではじまります。だんたん高揚してきます。さすがに、後期のものとくらべると少し一本調子ですが、これがこのころの特徴でしょう。けっこう音楽がきれいに流れる。後半弦楽の感情のこめ方はなかなか見事。

第3楽章、朝比奈流スケルツォの極意。テンポは意外に速め。しかし重量感は朝比奈節。中間部もなかなかいいテンポですすんでいく。主部に戻ると、少しテンポの乱れがあるが、その後は、なかなか重量感があり、迫力満点。

第4楽章、ブルックナーのなかでも、どうももっともなじめない音楽といっていい楽章です。ポルカの美しさは好きですが、その直後の音がバラバラに聞こえるのです。とくに、このポルカは、むかしFMの音楽番組のテーマに使われていたので、親しみやすいのです。しかし・・・。あとは、どうも音楽がバラバラのような印象をもってしまいます。しかし、それでも、パワー全開で、最後まで進みます。

今聴いてもなかなかいい演奏です。しかし、第3番はキャニオン盤がダントツです。

・交響曲第3番ニ短調 WAB.103(エーザー版)[57:38]
 チューニングと拍手:1:48
 第1楽章:19:41
 第2楽章:15:05
 第3楽章:06:57
 第4楽章:15:55
 拍手:1:57
 録音時期:1977年10月28日
 録音場所:大阪フェスティバル・ホール
 録音方式:ステレオ(ライヴ)

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ブルックナー 交響曲第1番 リンツ稿 ハース版 朝比奈隆 大阪フィル 1977年 ジャンジャン

朝比奈隆 最初のブルックナー全集です。

これは、1977年1月24日の大阪フェスティヴァルホールでの実況録音。

私は、この第1番は、朝比奈さんの生演奏はついに聴く機会はなかった。この演奏会も知ってはいましたが、聴いていないのです。

さて、この第1番ですが、思い出話をひとつ。

これを買ってまもないときに、下宿でクナッパーツブッシュ大ファンという友人にブルックナーの交響曲第1番をきかせたのです。最初にノイマン指揮のゲヴァンとハウスの演奏を。そうしたら、彼はこれブルックナーの曲かあ?と言うのです。次にこの朝比奈さんの演奏をかけました。そうしたら、彼は、これ、ブルックナーや!と大声で叫びました。この朝比奈さんの演奏、最初から、ブルックナーの音がしていました。それがどういうものか、感覚的にかわからないのですが、まさにブルックナーの音。

きわめて優秀なアナログ録音です。ホールの響きがきれいに出ています。

第1楽章、比較的淡々と始まるが、しっかりブルックナーの音になっています。ぐいぐいと進んでいきます。ただ、オケとしては、洗練度がちょっと低いのが気になります。とくに金管。比較的思い切ってテンポをゆらして、自由な表現をしています。

第2楽章、無骨というか、素朴な表現。最初は、音のまとまりがない感じもする。だんだん熱気がでてきて、音のかたまりとなる。ただ、アンサンブルはいまひとつ。弦も歌がすくない。

第3楽章、朝比奈さんらしい、重さと迫力をもつ。ぐいぐいすすむ。ただ、旋律線が短く表情があまりない。トリオも、比較的淡々としている。

第4楽章,この楽章も淡々とすすむ。木管はデリカシーを感じるが、全体的に比較的一本調子というか、比較的あっさりしている。ただ、流れはきれいにでていて、最後まで一気に進む。

・交響曲第1番ハ短調 WAB.101(ハース校訂リンツ版)[46:59]
 第1楽章:12:28
 第2楽章:11:39
 第3楽章:09:14
 第4楽章:13:38
 拍手:1:19
 録音時期:1977年1月24日
 録音場所:大阪フェスティバル・ホール
 録音方式:ステレオ(ライヴ)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

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ジャンジャンのブルックナー交響曲全集 朝比奈さん最初のブルックナー交響曲全集

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ジャンジャン ブルックナー 交響曲全集

レコードというメディアが、日本でのクラシックマーケットに残した、おそらく最大の業績は、このディスクジャンジャンのブルックナーの交響曲全集ではないかと思います。

歴史的な意味は計り知れないです。ひとつのクラシックのブームをつくった立役者として、永遠に名前をきざむことのできる大偉業です。

これだけ、企画と演奏にすばらしく一貫性のある全集は、ほかにありません。朝比奈さんのブルックナーは、これ以降、全集としてもほかに2つ、選集もたくさんあるのですが、すべてがここから始まったのです。

当時、朝比奈さんの演奏は、非常に好評でしたが、最初の録音は学研のベートーヴェン交響曲全集、そしてメジャーレーベルはヴィクターのやはりベートーヴェンの交響曲シリーズです。当時、朝比奈さんのブルックナーはかなり評判だったのですが、レコード会社はその気になりませんでした。

ジャンジャンは、渋谷にあったスタジオですが、今はもうありません。跡地は、小さなホールと喫茶店になっています。

ここのオーナーの高橋氏が、朝比奈さんのブルックナーの演奏会に行き、大感激して、私財をはたいて、ブルックナーの交響曲全集を作ったのです。最初、LPのセットで限定500部でした。

高橋さんは、東京文化会館で朝比奈さんのブルックナーの演奏会を聴き、いたく感動したそうです。そして、上野公園から上野駅に下りる道で、その日の聴衆の反応を感じ、3往復もして、その日の数多くの聴衆もやはり同じ思いであることを知りました。そして、一大決心をしました。

最初は、大阪フィルではなく、東京のオケにしたらというアイディアもあったようですが、絶対的に大阪フィルでなければいけない、と高橋氏はゆずりませんでした。彼、信念の大偉業です。

そして、会場は、音響のいい、神戸文化ホールが選ばれました。

第7、第8、第9の3曲がまず録音されました。それ以外については、大フィルの定期演奏会、東京定期演奏会のプログラムに組まれ、実況録音されました。

最初の3曲を録音した段階で、高橋さんは、第8の演奏が気に入らなかったらしく、再録音をしました。この前の録音は、最近になって発売されましたが、とてもいい演奏ですが、最初に出た再録音の方が数段いいです。

この第8番の再録音は、すこしだけ聴衆をいれて録音しました。私は、これを聴きに行きました。神戸文化ホールで、聴衆は、一番後ろの席でした。オケは公開録音ですが、本番ではないので、私服でした。

この公開録音、すばらしい演奏でした。そして、演奏終了後、朝比奈さんは、コンマスの安田さんと握手をしていまい、解散してしまったので、これ一発勝負の録音です。一部修正はしていません。本当は、修正をする予定だったそうですが、朝比奈さんがそれをわすれてしまい、解散してしまったそうです。しかし、この演奏、修正する必要がないほどの完成度です。最終楽章の最初のテンポの乱れがあり、もし直すならそこでしょうが、これは修正しなくていいです。

そして、第2番も同じ条件で録音されました。私は残念ながら、この第2番はいっていないのですが、行った友人によると、聴衆の大部分は、この曲をはじめて聴いたのだけれど、最初の楽章だけで圧倒された、ということでした。このときは、ちゃんととりなおしをしたので、一部修正しています。

この公開録音という方法は、大成功で、このあと、ヴィクターのブラームスの交響曲全集がこのやりかたで録音されています。この録音のさなか、コンマスの安田さんがバイク事故で側溝にはまり亡くなるという大事件があり、大フィルは危機を迎えることになるのですが。

こういうふうに、最初の3曲と第2番が録音されました。それから、演奏会のライヴが録音されました。

私が録音された生演奏をきいているのは、第3番、第5番、第8番です。

個々の演奏はひとつひとつ全部書く予定ですが、この全集の特色は、ものすごい熱気がある、ということでしょうね。最後のころの大フィルとくらべて、下手だし、音も美しくないのですが、聴いていると、それ、すぐに慣れてしまい、その熱気ムンムンにやられます。

そして、

これ、すごーい

すごーい

すごーい

ということになってしまいます。

これほど、情熱に満ちた、そして生命力にあふれたブルックナー、ほかにないです。

本当にすばらしい全集です。

このLPは、最初、第8番のみ2枚組みで発売されました。そしてすぐに買いました。非常に発売枚数が少なかったのですが、私は、大フィルの合唱団のメンバーでしたから、予約できました。

そして、7,8,9の3曲がセットで発売されました。全部2枚に切っています。第9は3面ですが。それで、リハーサル風景がついています。このセットも購入しました。そして、8番ぬきという方法でも買うことができました。

最後に全集が出ました。第1番以外は2枚使うという、非常にぜいたくなカッティングでした。そして、7、8,9を買った人は、1から6だけという販売もしていました。このときに特典盤としてついていたのが、聖フロリアンのあの超絶的な第7番です。ただし、特典なので、1枚のカッティングで音のレベルはよくありません。あとのヴィクター盤が数段いいです。この全集、解説書がないです。簡単なデータと、朝比奈さんが最後の5番の録音のときに書いた文章だけです。

あとになって、第8番は再録だということで、最初に出た1枚が、もとの演奏ではないか、というウワサが出ましたが、私は全部持っているので、それは違います、と断定できました。

このプレスは、500部しかありません。高橋氏は再プレスを拒否したのです。いや1000部だったかもしれません。

これのCDは相当あとになって、かんたんな紙ボックスのもので発売されました。

それから、再生テープレコーダーを当初録音したのと同じアンペックスにして、グリーンドアから非常に立派なボックスいりのセットで出ました。これは非常に高価だったのですが、すぐにタワーとかHMVで大安売りされました。ここには、第8番の旧録音が含まれています。それにリハーサル風景がはいっていますが、あまり語りはありません。ここには、相当くわしい解説書がはいっています。ここで、いろんな事情がはじめて明らかにされました。

このなかの7,8,9については、ワンポイントとマルチと異なるマスターがあります。それで、最後のこのグリーンドアのものは、最初のLPとは、かなり印象が異なるものになっています。

このセットは、廃盤になっていますが、流通在庫や中古品はあると思います。
定価は約4万円と非常に高価ですが、流通価格は1万円台だと思いますが、変動します。
全集のみの販売です。

以下、データ
HMV HPより
各曲のコメントにジャンプします。
【収録情報】
DISC1
交響曲第1番ハ短調 WAB.101(ハース校訂リンツ版)[46:59]
 第1楽章:12:28
 第2楽章:11:39
 第3楽章:09:14
 第4楽章:13:38
 拍手:1:19
 録音時期:1977年1月24日
 録音場所:大阪フェスティバル・ホール
 録音方式:ステレオ(ライヴ)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC2
交響曲第2番ハ短調 WAB.102(ハース版)[69:52]
 第1楽章:19:12
 第2楽章:18:30
 第3楽章:10:25
 第4楽章:21:45
 録音時期:1976年8月25日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(公開セッション)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC3
交響曲第3番ニ短調 WAB.103(エーザー版)[57:38]
 チューニングと拍手:1:48
 第1楽章:19:41
 第2楽章:15:05
 第3楽章:06:57
 第4楽章:15:55
 拍手:1:57
 録音時期:1977年10月28日
 録音場所:大阪フェスティバル・ホール
 録音方式:ステレオ(ライヴ)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC4
交響曲第4番変ホ長調 WAB.104(ハース版)[63:25]
 拍手:0:41
 第1楽章:17:17
 第2楽章:14:48
 第3楽章:11:06
 第4楽章:20:14
 拍手:2:40
 録音時期:1976年7月29日
 録音場所:東京文化会館
 録音方式:ステレオ(ライヴ)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC5&6
交響曲第5番変ロ長調 WAB.105(ハース版)[78:25]
 拍手:0:38
 第1楽章:21:30
 第2楽章:17:28
 第3楽章:14:33
 第4楽章:24:54
 拍手:5:11
 録音時期:1978年1月25日
 録音場所:大阪フェスティバル・ホール
 録音方式:ステレオ(ライヴ)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC7
交響曲第6番イ長調 WAB.106(ハース版)[59:13]
 チューニングと拍手:1:53
 第1楽章:17:44
 第2楽章:17:08
 第3楽章:09:17
 第4楽章:15:04
 拍手:7:27
 録音時期:1977年9月1日
 録音場所:東京文化会館
 録音方式:ステレオ(ライヴ)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC8
交響曲第7番ホ長調 WAB.107(ハース版)[67:44]
 第1楽章:20:50
 第2楽章:23:10
 第3楽章:09:34
 第4楽章:13:10
 録音時期:1976年4月14日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(セッション)
 未発表オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC9&10
交響曲第8番ハ短調 WAB.108(ハース版)[84:26]
 第1楽章:16:00
 第2楽章:16:50
 第3楽章:26:59
 第4楽章:24:37
 拍手:4:57
 録音時期:1976年8月23日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(公開セッション)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC11
交響曲第9番ニ短調 WAB.109(ハース版)[64:55]
 第1楽章:26:50
 第2楽章:11:27
 第3楽章:26:38
 録音時期:1976年4月22日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(セッション)
 新発見のオリジナル・マルチによるデジタルリミックス盤

DISC12&13
・交響曲第8番ハ短調 WAB.108(ハース版)[82:47]
 第1楽章:15:49
 第2楽章:16:38
 第3楽章:26:20
 第4楽章:24:00
 録音時期:1976年4月15、16日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(セッション)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC14
・交響曲第2番ハ短調 WAB.102(ハース版)~リハーサル
 第1楽章:23:54
 第2楽章:05:56
 第3楽章:06:06
 第4楽章:14:18
 録音時期:1976年8月25日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(公開セッション)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC15
・交響曲第4番変ホ長調 WAB.104(ハース版)~リハーサル
 拍手:0:41
 第1楽章:12:40
 第2楽章:16:05
 第3楽章:7:37
 第4楽章:23:02
 拍手:2:40
 録音時期:1976年7月29日
 録音場所:東京文化会館
 録音方式:ステレオ(ライヴ)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC16
・交響曲第8番ハ短調 WAB.108(ハース版)~リハーサル
 第1楽章:08:19
 第2楽章:07:14
 第3楽章:21:47
 第4楽章:07:57
 録音時期:1976年8月23日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(公開セッション)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

DISC17
・交響曲第9番ニ短調 WAB.109(ハース版)~リハーサル
 第3楽章:54:59
 録音時期:1976年4月22日
 録音場所:神戸文化ホール
 録音方式:ステレオ(セッション)
 オリジナル・マスターからのデジタル・マスタリング

 大阪フィルハーモニー交響楽団
 朝比奈隆(指揮)

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ブルックナー 交響曲第7番 朝比奈隆 大阪フィル 1992年 キャニオン SACD

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朝比奈 ブルックナー 交響曲第7番

朝比奈さんのブルックナーのSACD。ポニーキャニオンの第7番。ポニーでの録音では、これが第一弾。これが発売されたとき、3回目のブルックナー交響曲全集が出ると知り、非常に喜んだものだ。
1992年9月27-29日、大阪フェスティバルホールでのライブ録音。
これは、実演に接していない。新日本フィルのライブの直後の演奏。このあとに、このコンビは、ヨーロッパへ演奏旅行へ行った。

朝比奈さんの第7番は、聖フロリアン盤をはじめてとして、ものすごい量の録音が残されている。朝比奈さんとしても、もっとも演奏頻度の高いブルックナーの曲である。

ブルックナーの残したもっとも優美な音楽といわれる。

この演奏は、キャニオンによるブルックナー交響曲全集の最初をかざる録音である。

あんまり聴くことはなかったのだが、実にすばらしい演奏である。朝比奈さんののこした第7番のなかでも、きわめて上品なおもしろさをもった演奏だといってもいい。それに、響きが全体的に洗練されている。

聖フロリアンのテンポは異常に遅いが、日本ではこれくらいのテンポで演奏することが多かった。それで、響きがきれいで、流れがものすごくきれいな演奏である。

第1楽章、適度のひびきにのって、非常にきれいに音が流れる。テンポも比較的早めで、表現もなかなかしゃれっ気がある。全体的に響きが豊か。

第2楽章、こちらも響きが比較的明るく豊かさを感じる。ほどよく色気さえのった音色。響きにゆとりがあり、あたたかみがある。盛り上がり方が自然である。

第3楽章、朝比奈さんのスケルツォは重量級である。これは、思いのほかテンポが速いのと、響きが適当にあるので、迫力があるし、表情が楽しい。トリオも表情が多彩です。なかなかこういう表現なかったのでは。

第4楽章、非常に勢いのある、楽しげな表情のあるステキな表現が続く。大胆ながら、流れもあり、すばらしい表現である。

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ブルックナー 交響曲第5番 朝比奈隆 大阪フィル 1994 キャニオン SACD

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ブルックナー 交響曲第5番 

キャニオンによるブルックナーの交響曲全集のひとつ。最初バラで、それから全部ひとまとめに、それからHDCDで廉価盤、そして、SACDで出た。

1994年6月27日大阪フェスティヴァルホールでの実況録音。

朝比奈さんは、この第5番が一番演奏が難しいといっていた。最初、ジャンジャンの全集を出すときに、最後の最後までとっておいたのである。しかし、朝比奈さんの表現の相性としては、もっともあっていう曲であると思う。

最初のジャンジャンのときから、圧倒的な演奏をしている。

この演奏は、1994年の大阪のもので、私は聴きにいっていないのだが、このあたりの東京での演奏はあほとんど聴いている。どれもすばらしい。

さて、この演奏、大阪フィルとしても非常に精度も高く充実した演奏である。

第1楽章、きわめてきちりとした演奏ではじまり、かなりかっちりした表現であるが、だんだん乗ってくる。かなり固めの音で直線的な音づくりである。

第2楽章、ごくゆっくりと丁寧に低弦のピッチカートに木管がのせてくる。ここらへんは比較的おとなしいが、弦のアルコになってとたんに表情が豊かになる。それからは、非常に厚みのある雄弁な音楽にかわる。中間部は、管の表情がなかなか楽しい。

第4楽章、おごそこにピッチカートではじまる。ここから、各楽章の回想をする。ベートーヴェンの第九みたいに。それがひととおりおわって感動的なコラールがある。ここのコラールのときに、残響が長いところだと、本当に神秘的に響き、そのあとに出てくる弦楽が絶妙にきこえるが、ここはデッドなので、比較的あっさりと出てくる。この雰囲気は、やはり東京カテドラルのあの響きがなつかしい。このコラールがあってから、大フーガ。この大きなうねりがつづいて圧倒的な迫力でクライマックスを迎える。最後は、倍管にし、圧倒的な大音量でおわる。

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チャイコフスキー 交響曲第6番 朝比奈隆 大阪フィル 1982 キング リマスター

朝比奈 チャイコフスキー 6

これもファイアーバードで出ていたLPが最初で、それからCD化され、今回、ハイパーマスタリングで再発されたもの。1982年の録音。

かなりマイクが近く、楽器のにごった音色がダイレクトにはいっている。だから、昔の大阪フィルの野暮ったい音がそのまま出ている。朝比奈さんの音楽は、作品の出来にもよるのだけれど、5番よりは洗練された表現。あんまり感傷的にならず、ストレートな表現だと思う。

この時期の荒削りな大阪フィルの音楽を楽しむには絶好の1枚。

私は、これをLPが出たときに買ったのだが、傷があるのかプチプチ音があり、交換してもらおうと思いつつ、そのままになってしまった。重量LPであり、すごくパワフルな音である。

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